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医学のうんちく/淋病の〝復活〟

2021年12月24日
 淋病は淋菌という細菌が引き起こす感染症で、主に性行為や、口腔性交(オーラルセックス)などの性交類似行為で感染します。
放っておくと不妊にも

 潜伏期間は2~7日ほどで、男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎を引き起こします。尿道炎は尿道から膿のような分泌物や排尿時の痛みがみられますが、子宮頸管炎は自覚症状に乏しく、無症状のことがあります。
 いずれも放っておくと精巣上体炎や卵管炎に進行し、不妊に至ることもあります。国内では年間約1万人が罹患しているという報告があります。

医学のうんちく/淋病の〝復活〟

有効だった抗菌剤も

 淋菌は1879年、ドイツの医師A・ナイセルにより発見されました。発見者と尿道から膿がたくさん出ることから「Neisseria gonorrhoeae」と命名されています。
 淋菌は標的細胞に接着して細胞内に侵入するほか、菌を排除するために集まってくる白血球(好中球)では殺菌されません。効果的な免疫反応も期待できず、抗菌剤による治療が欠かせません。

耐性を獲得して

 ただ近年は抗菌剤が効かない耐性淋菌の報告が増加しています。米国疾病予防管理センター(CDC)は2013年、耐性淋菌を最も深刻なハザードレベルに引き上げたほか、世界保健機関(WHO)も14年、淋菌の耐性化に警告を発しています。
 口腔内に常在する淋菌の仲間の細菌は、宿主が他の感染症になる度に抗菌剤を投与されている結果、耐性を獲得します。淋病が咽頭に感染すると耐性を持った口腔内常在菌の遺伝子が導入され、淋菌の性質を変えるためと考えられています。

身を守るには

 新しい抗生物質の登場が待たれるところですが、淋菌から身を守るには当面はコンドームの着用を励行するしかないようです。


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医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。