女性の美と健康/便秘
重篤な病気の可能性も
多くの患者さんは「便秘ごときで」と通院には二の足を踏みがちですが、便秘の影に重篤な病気が潜んでいることもあります。
4万5000人を対象にした調査では、循環器系の病気で亡くなった約2000人を調べると便秘患者が明らかに多かったこと、脳梗塞では便秘患者のリスクが2倍多かったことが分かりました。

初のガイドライン
こうした事情を背景に2017年、日本初の便秘のガイドライン「慢性便秘症診療ガイドライン」が作成されました。
慢性便秘の定義として従来は「排便が週に3回未満か、4回に1回を越す頻度で排便が困難な症状があり、それが数カ月続いている状態」としていましたが、ガイドラインでは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定めています。
治療薬はガラパゴス?
便秘の治療薬ですが、実は江戸時代からあまり変化がなく、〝ガラパゴス状態〟と揶揄される時代が続いてきました。
古くから大腸刺激薬や酸化マグネシウムに代表される浸透圧性下剤が使われてきましたが、これらは腎機能の低下を起こす恐れもありました。
新薬が相次ぎ登場
それがここ数年、新しい薬が相次ぎ登場しているのは朗報です。代表が小腸粘膜に作用する「上皮機能変容薬」で保険適用にもなっています。
このほか有効な薬も出てきていますので、お悩みの方は最寄りの医療機関に相談されることをお勧めします。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
●(むらやま・かずひこ)山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大病院、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。