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医学のうんちく/性欲低下の危険因子

2021年11月26日
 人間には食欲、睡眠欲、性欲の三大欲があるとされますが、食事や睡眠習慣に関する健康管理の報告はあまた存在するものの、性欲に関する報告はやや等閑視されているきらいがありました。

金沢大の解析結果

 金沢大学の研究チームは今年、平均年齢66.2歳の男性292人を対象に、更年期障害、前立腺症状、性的欲求と血液検査や生活習慣との関連を解析しました。
 更年期障害の性欲低下で4点以上を重度性欲低下群、3点以下を非重度性欲低下群に分けて比較したところ、前者では喫煙者が7.2倍、夜間頻尿が2.3倍多く認められ、特に夜間排尿回数が増加するほど性欲が低下する傾向がありました。

医学のうんちく/性欲低下の危険因子

夜間頻尿は大敵

 夜間頻尿は夜中に何度も目が覚めるため睡眠不足や睡眠障害をもたらし、うつ状態、不安症、日中の活動低下を併発します。これらが性的満足感や性欲の減退を引き起こすと考えられます。
 米国のニューイングランド研究所が2009年に30~70歳の5503人の男性に泌尿器科症状と性機能を聞いた調査でも、夜間頻尿とうつ病における性欲の低下を認めています。

たばこも危険因子

 たばこには血管を収縮させるニコチン、酸素欠乏を招く一酸化炭素、毒性の強いシアン化合物などが含まれており、勃起不全の危険因子として知られています。
 オーストラリアの研究チームは2017年、性的活動性のある成人1万8427人を対象とした調査で、喫煙者では性欲低下が非喫煙者に比べ2.2倍多く認められています。

男性ホルモンの影響は?

 先の金沢大の調査で男性ホルモンと性欲低下の関連性は認められませんでしたが、加齢により男性ホルモン分泌が低下した状態では男性ホルモンの影響が弱くなるのではないかと考えられます。


医学のうんちく/性欲低下の危険因子
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。