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医学のうんちく/男性用避妊薬の開発

2021年10月22日
 現在、女性の避妊法はピル、基礎体温法、ペッサリー、リングなど複数の選択肢がある半面、男性にはコンドームや膣外射精しかありませんが、臨床試験中の薬剤もあります。

精子形成の阻害薬剤

 米ワシントン大の研究チームは2019年、男性ホルモンのテストステロンとプロゲステロンの作用を抑制する薬剤を内服すれば、精子形成に必要な性腺刺激ホルモンの産生が阻害されることを報告しています。
 同チームはまた、テストステロンと黄体ホルモンである酢酸セゲステロンを配合したゲルを塗布することで精子形成に必要な性腺刺激ホルモンの産生が抑制され、精子濃度が低下することも報告しています。

医学のうんちく/男性用避妊薬の開発

不妊女性の抗体を利用

 米ノースカロライナ大の研究チームは、精子を阻害する抗体を有する免疫不妊女性から抗体だけを取り出し、精子と複数の部位で結合する抗体を作製したところ、この抗体は精子を凝集させ、子宮頸管粘液の透過を減少させる力が通常の抗体の10~16倍ありました。
 この抗体の投与によりすべてのヒト精子の運動を停止させることができるとしています。

毒矢成分も研究対象

 アフリカのソマリ族が毒矢の原料に用いていた植物抽出物・ウアバインは、精子細胞のNaイオンとKイオンの通過を妨害します。米ミネソタ大の研究チームは動物実験でウアバインが精子の運動を抑制し、生殖能力を低下させることを報告しています。

中国原産の植物も

 中国原産のタイワンクロヅルの抽出物から精製された化合物・トリプトニドは、精子細胞の細胞膜の成熟を阻害する作用を有します。米ネバダ大の研究チームはマウスとカニクイザルにトリプトニドを投与し、精子のほぼ100%が前方運動のできない変形精子となることを報告しています。


医学のうんちく/男性用避妊薬の開発
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。