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医学のうんちく/ED治療薬の応用

2021年10月8日
 勃起不全(ED)の治療薬として広く使用されているバイアグラの当初の開発目的が、狭心症の治療薬だったことをご存知ですか?

バイアグラの成り立ち

 狭心症治療薬としてはバイアグラの効果は認められず、臨床試験は中止に。臨床試験の参加者から余ったバイアグラを回収しようとしますが、誰も素直に返却に応じません。理由を聞いたところ、何と陰茎の勃起を促進する作用があるというではありませんか!
 この〝副作用〟が思わぬ発見となり、ED治療薬として研究が進められた結果、現在に至っているというわけです。

医学のうんちく/ED治療薬の応用

総称PDE5阻害薬

 ED治療薬としてはバイアグラ以外にレビトラ、シアリスがあります。これらは「ホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬」と呼ばれ、ED治療薬以外に様々な作用が認められています。
 血管拡張作用による前立腺、尿道、膀胱への血流改善で酸素供給が増加し、排尿障害の改善効果を認め、前立腺肥大症の治療薬として承認されたものもあります。

嬉しい誤算の副作用

 米ハーバード大の研究チームは2013年、ED男性140人にバイアグラを投与し、男性ホルモンのテストステロンが増加したことを報告しています。精巣でテストステロン産生細胞に作用したと考えられます。
 川崎医大の研究チームが17年に50歳以上の男性20人にシアリスと同成分の薬剤を投与したところ、血管内皮機能や血管硬度が改善されました。
 ソウル大の研究チームは19年、バイアグラに血管内膜増殖と血小板凝集能を抑制する作用を報告しています。

今後に期待かかる

 そのほかにPDE5阻害薬は抗酸化作用、細胞死抑制作用なども報告されています。PDE5阻害薬が今後、様々な疾患の治療薬になることが期待されます。


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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。