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《セピア色の風景帖》第155回 甘栗太郎

2021年9月10日
 山形市七日町の大沼デパートの脇に、昭和40年からの長きにわたり門番のごとく店を構えていた甘栗太郎。本社は新宿区四谷で、秋葉原や銀座に店があるらしいが、それがなぜか遠く離れた盛岡や山形などの地方都市に出店するという特異な会社でもあった。
《セピア色の風景帖》第155回 甘栗太郎

 以来50有余年、いきさつは不明ながら、出店先に選ばれた山形では知らない人はいないくらいの有名店となっていた。
 白地に赤と緑の桃太郎のような小児のデザインは、買ったことがない人でも一目でこの店のものと分かるほどの浸透度で、大半の人は地元企業と思っていたはずだ。

《セピア色の風景帖》第155回 甘栗太郎

 子どもに気軽に買える金額ではなかったこともあり、もらって食べた記憶の方が多いが、小ぶりの香ばしい栗は茹で栗とは全く異なる種類のおやつであった。
 七日町の風景にはあって当たり前の感もあったその小さな店舗が突如閉鎖されたのは2018年3月。背後に構える大沼に先んずること約2年の終焉であった。(F)