真理子先生の女性のミカタ/HPVワクチンが男性にも!
2021年9月10日
厚生労働省は昨年12月4日、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐワクチン接種の対象を男性にも広げることを承認しました。
厚労省、昨年末に承認
もともとHPVワクチンは子宮頸がんや尖型コンジローマを防ぐことを目的に、9歳以上の女子から2価、4価、9価のワクチンの接種が可能でした。今回、厚労省が承認した新たな適応疾患は肛門がんで、男性も9歳以上から4価の接種が可能になりました。
HPV感染は肛門がんのほか、ペニスのがんや中咽頭がんの原因にもなります。中咽頭がんはアメリカでは子宮頸がんより多い疾患です。

男性は自費負担
ワクチンが厚労省に承認されるということは、万一重篤な副反応が起こった場合、公費保証が受けられるということです。女性の2・4・9価ワクチンやコロナワクチンも同様です。
小6~高1女子の様に、予防接種法の「定期接種」になれば公費負担になりますが、男性は当面は全額自費負担になります。合計3回で5~6万円程度でしょう。
諸外国では定期接種も
HPVは性交渉で感染します。女性の子宮頸がんを減らすには、女性はもちろん、男性もHPVワクチンを接種することが望ましく、感染率が下がる「集団免疫」が期待できます。
すでに諸外国では男女ともに定期接種になっている国も数十カ国あります。それらの国々ではいち早く子宮頸がんが消えるのでしょうか。羨ましい限りです。
パートナーのためにも
男性がHPVワクチンを接種することは、HPV感染やがんから自分の身を守ることはもとより、大切なパートナーを子宮頸がんから守ることにもつながるのです。


真理子レディースクリニック 院長
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。