徹底して山形に密着したフリーペーパー

井上工業(寒河江市)会長 井上 尚さん

2021年7月23日
井上 尚(いのうえ・たかし) 1954年(昭和29年)寒河江市生まれ。左沢高から足利工業大に進み、4年時に中退して帰郷、実家で井上工業の前身である井上砂利へ。現場で作業経験を積み、同社の解体工事進出を主導。88年社長就任。2016年に全国解体工事業団体連合会会長に就任するのにあたり同社会長に。他に県解体工事業協会代表理事も務める。66歳。
井上工業(寒河江市)会長 井上 尚さん

形あるものを無に帰す解体業
  だから仕事の内容が問われる

――簡単に御社の沿革からお願いします。

解体手法にこだわり

 「1947年に父が運送業に乗り出したのが始まり。64年に砂利採取業に転換して川砂利、山砂を採ってたんだけど、やがて需要が先細りに。それで手持ちの重機やダンプが使える土木工事に再度の業態転換し、最終的解体工事中心に行き着いたのが85年かな」
 「建築や建設の仕事は建てた物件で評価できるけど、解体は何も残らないから評価のしようがない。だから他社との差別化を図るうえで解体のやり方が大事なんだね」
 「アスベスト対策はもちろんのこと、騒音、振動、粉じんを出さないやり方を追求し、そのための重機や様々な資格を持つ人員を揃えているのがうちの強みになってる」

コストはかかっても

――そういえば、山形市あこや町の錦産業ビルを解体してたでしょ。
 「2年前だったかな」
――あれを見て知り合いの解体業者が「あの技術は凄い!」って。
 「高さによって解体方法は変わるからね。12月には40メートルの高さの建物が解体できる重機『ロングフロント』を導入する予定。同重機を採用してるのは東北ではうち以外に1社だけかな」
――それだけ〝品質〟にこだわると、コストもかかるわけですよね。
 「後発組の中には安い価格で売り込みを図るところもあって、仕事を取られてる面は確かにある。だけど、長い目で見ればそういうところは淘汰されていくんじゃないかな。さっきも言ったけど、何も残らない仕事だからこそ、安全・安心という仕事の内容が問われていくと思う」
――依頼主もそれなりのところだと。

現在は大沼米沢店を

 「2018年から20年にかけて山形市の十字屋山形店、今年は東根市の神町小学校や米沢市の大沼米沢店を手がけてる。売上高約15億円のうち官公庁が約5億円、民間が約10億円だね」
――山形市の大沼本店の行方は注目ですね。
 「十字屋山形店や大沼米沢店のケースから見て、大沼本店の解体費は見積もってざっと5億円超かなあ。山形市中心街だと、済生館や山形銀行も建て替えの話があるので、ビジネスチャンスはあると見てますよ」
――最近つくづく感じるんですけど、建築や建設と同じくらい、解体の仕事って大切ですよね。

街づくりにも貢献

 「再開発をするには老朽化した建物の解体は不可避で、街づくりを進めていくうえで解体業の責任は重大。全国の業界団体のトップとして、そのための法整備に取り組んでいくつもりです」