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医学のうんちく/コロナとED

2021年6月25日
 前回、新型コロナウイルスに感染した場合の後遺症として生殖機能障害の可能性を指摘しましたが、勃起障害(ED)もコロナ感染の後遺症として注目されています。

ローマ大の研究では

 イタリアのローマ大の研究チームは2020年4月から5月にかけ、性的に活発なイタリア人男性985人からコロナ感染歴のない75人と感染歴のある25人を抽出して調査したところ、感染歴のない人のED有病率が9%だったのに対し、感染歴のある人のED有病率は28%でした。
 同大ではコロナ感染者にEDが有意に認められるとし、21年3月に研究結果を医学誌のオンライン版に掲載しています。

医学のうんちく/コロナとED

血栓が血流低下を招く?

 コロナがEDを引き起こすメカニズムですが、有力なのはコロナで生じた血栓が陰茎への血流の低下を招くと考えられています。
 また発熱により、性欲をつかさどる男性ホルモンのテストステロンの分泌が抑えられることも原因として考えられます。

ED治療薬、コロナにも

 EDの治療に用いられるバイアグラ、レビトラ、シアリスなどのホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬は、陰茎海綿体の血管平滑筋弛緩だけではなく、抗炎症、抗酸化、免疫反応調整、細胞死抑制など様々な作用を有しています。
 ソウル大の研究チームは19年、バイアグラに血管内膜の増殖と血小板凝集能を抑える作用があることを報告しています。
 過剰な免疫反応や広範囲に及ぶ血栓形成がコロナ感染の重症化に影響を与えていることから、PDE5阻害薬はコロナ感染の治療薬としても期待されています。

マスクとワクチンが有用

 コロナは脅威ですが、男性にとってはEDも心配です。コロナに感染しないことが何よりで、マスク着用とワクチン接種が現状では最も有用な備えといえるでしょう。


医学のうんちく/コロナとED
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。