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9月15日は敬老の日/知っていますか?「老人性難聴」と「補聴器」

2008年9月12日
 9月15日は敬老の日。山形にもお年寄りの方が大勢いらっしゃいますが、誰でも年をとれば耳の聞こえが悪くなるもの。視力を補うメガネのように聴力を補うのが補聴器ですが、厚生労働省の調査によると75歳以上で実際に補聴器を使っている人は10%にとどまっているそうです。意外に縁遠い補聴器について、専門の先生にうかがってみました。

答える人 山形市立済生館 耳鼻咽喉科科長 佐々木高綱先生

9月15日は敬老の日/知っていますか?「老人性難聴」と「補聴器」

●難聴とは

 人間の「聴く」という機能は「見る」「嗅ぐ」「味わう」「触れる」とともに「5感」を構成する重要な感覚のひとつです。
特に日本人はこの「5感」を使って食事を楽しむことで知られています。耳介(外耳)で集められた音は鼓膜を振動させて耳小骨(中耳)を介して蝸牛(内耳)へと伝えられます。

 蝸牛に伝えられた音はそこで音刺激から電気刺激に変換され、脳で「音」として認識されます。この聴覚伝導路に何らかの異常が出現したときに人は難聴を自覚します。難聴とは、その原因部位から外耳もしくは中耳が原因で起こる「伝音難聴」と、内耳から脳までが原因で起こる「感音難聴」に大きく分けられます。

 加齢による老人性難聴は主に内耳が原因で起こる「感音難聴」で、治療によって改善されることの多い「伝音難聴」と違って治療は困難とされています。

9月15日は敬老の日/知っていますか?「老人性難聴」と「補聴器」

●補聴器の役割

 補聴器は音を大きくする増幅器の役割を果たします。人体のさまざまな機能は加齢とともに低下していきます。「聴く」機能も例外ではありません。低下した「聴く」機能を手助けする手段として「補聴器」があるわけです。

 一般的に老人性難聴への効果は「伝音難聴」と比べて劣るとされますが、まったく効果がないわけではありません。
 日本の補聴器の普及率は欧米の約5分の1と言われています。日本では以前から「身体障害者」という表現に過敏に反応する風潮があり、これが補聴器が普及しない大きな要因と考えられています。ですが、補聴器は低下した聴力を補う道具であり、眼が悪くなった時に使うメガネと何ら変わりがありません。

9月15日は敬老の日/知っていますか?「老人性難聴」と「補聴器」

●メガネや電化製品と同じ

 家の中を見回してみましょう。テレビがありますね。テレビは2011年から完全にデジタル放送に切り替わり、補聴器にもアナログ型、デジタル型があります。これを聞くと「なんだ、家で日常使っている電化製品と変わりないじゃないか」と思えてきませんか。
 
 家の中には掃除機もあるはずです。掃除機には紙パック式やサイクロン式といった形の違いがありますが、補聴器にもポケット型、耳かけ型、耳穴型と形の違いがあります。

 こんな具合に電化製品を買う時には「どんな機能があるのか」「予算は」とかいろいろ考え、買ったあとはテレビならチャンネル調整をしたり、掃除機ならノズルの長さを調整したりと、自分にあった状態に設定して使いやすいように工夫するはずです。

 補聴器もまったく同じ。現在の自分の耳に合ったもの、予算に合ったものを買って、そのあとに微調整を加えながら自分に最適な補聴器にしていくのです。

9月15日は敬老の日/知っていますか?「老人性難聴」と「補聴器」

●補聴器で快適な生活を

 耳が聞こえにくいということは、日常生活においてとても不便です。家族、友人とのコミュニケーションも取りづらくなり、楽しい会話などに参加できなくなることはとても寂しいものです。

 また音が脳を刺激することが少なくなることで脳の老化を早めてしまう可能性もあります。「最近、聞こえにくくなったかな?」と感じたら、早めにお近くの耳鼻咽喉科で受診していただき、効果があるようであれば補聴器の装用を試してみてはいかがでしょうか。