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医学のうんちく/コロナと生殖機能

2021年6月11日
 新型コロナウイルスの後遺症として呼吸困難、全身の倦怠感、筋肉痛、味覚障害などが報告されていますが、一部には男性生殖機能障害も指摘されています。

生殖細胞の減少と障害

 中国の研究チームが2020年、コロナ感染で死亡した91人を病理解剖した結果、ウイルスが全身の臓器に変化を生じさせているほか、精巣においては生殖細胞の減少と障害が認められたと報告しました。
 精巣にはコロナウイルスの受容体が多く存在するため、感染により精子形成と男性ホルモン産生に障害を及ぼすと考えられています。

医学のうんちく/コロナと生殖機能

集中治療室や薬も影響?

 イタリアの研究チームが21年、18~65歳のコロナ感染症患者43人を対象に感染回復から約30日後に精液検査を行ったところ、8人(18.6%)に無精子症、3人(7.0%)に精子減少を認めています。特に集中治療室に入室した5人のうち4人が無精子症でした。
 重症度が高い患者では、血液中の炎症物質が多く認められたことから炎症による影響が考えられています。
 また、コロナに対する治療薬の影響も無視できません。

精子の質低下も

 ドイツの研究チームは、コロナに感染した男性84人と同年代の健常な105人に対し精液を60日間、10日ごとに分析しました。感染患者では精液中の炎症や酸化ストレスの指標が高く、精液量、精子数、運動性が低下していました。
 その影響は採取開始から60日後まで継続していました。感染が精子の質を低下させ、生殖機能に障害を与える可能性があります。

長期観察が必要

 もっとも、精子幹細胞から精子産生に至るまで74日間の時間を要するため、一過性の変化であるか、長期間継続する変化であるかは長期にわたる観察が必要です。


医学のうんちく/コロナと生殖機能
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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。