徹底して山形に密着したフリーペーパー

泌尿器講座/尿管結石(下)

2021年5月28日
 尿路結石を発症した方は5年以内に約50%の方が再発するとされ、予防は非常に重要です。

カルシウム摂取は適度に

 尿路結石の成分で一番多いのはシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのカルシウム。尿中のカルシウムが高くなると結石につながりやすくなります。特に閉経後の女性は尿中のカルシウムが高くなりがちです。
 だからと言って、摂取を過度に控えるのは禁物。特に高齢女性は適切に摂取しないと骨吸収(骨から血液へのカルシウムの移動)が増え、かえって尿中カルシウムが上がってしまうこともあります。
 大切なのは、カルシウム摂取は適量を心がけること。適切な摂取量はおおむね成人で1日1000ミリグラム、高齢女性は1200ミリグラムです。

泌尿器講座/尿管結石(下)

水分摂取と減塩を

 水分摂取が少なく、脱水になりやすい場合は水分を十分に摂るようにしましょう。また食塩摂取量と尿中カルシウム排泄量との間には相関関係があり、減塩も尿路結石の予防になります。
 甘いものの摂りすぎにも要注意。糖分の摂りすぎも尿中カルシウムが増加して尿路結石の原因となる可能性があります。
 肉や加工肉などの酸性食品の食べ過ぎを避け、野菜や果物・酢の物などアルカリ性食品を積極的に食べることをお勧めします。

肥満は大敵

 最近では生活習慣病と尿路結石との関係が明らかになり、特に患者さんの多くが肥満であることが分かっています。
 このため肥満の方は食生活の改善に加え、有酸素運動や筋トレなどで減量に努めましょう。

夕食は就寝4時間前に

 尿路結石は就寝中にできやすいとされ、就寝間際に飲み食いしてしまうのもNG。食事は就寝4時間前までに済ませるのが理想です。難しい場合は夕食を軽めにし、朝食をしっかり食べるようにしましょう。


泌尿器講座/尿管結石(下)
いしい腎泌尿器科クリニック院長
いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。