真理子先生の女性のミカタ/臨床的子宮内膜症
2021年5月14日
子宮内膜症については過去に何度かお話ししてきましたが、今回は臨床的子宮内膜症についてのお話です。
子宮内膜症のおさらい
子宮の内側には受精卵が着床する子宮内膜という組織があり、妊娠しない場合は子宮内膜が子宮から剥がれ落ち、血液ととともに体外に流れ出ます。これが月経です。
その子宮内膜が子宮の内側とは違うところ、例えば卵巣や骨盤などで増殖してしまい、月経の度に増殖場所でも出血を起こすのが「子宮内膜症」でしたね。

確定診断に必要な手術
子宮内膜症の確定診断には、本来は肉眼的にお腹の中をながめて子宮内膜症の存在を証明する必要があり、開腹や腹腔鏡検査などの手術が必要になります。
ただ、身体への負担が大きいのはもちろん、子宮内膜症が疑われる方全員に手術することはできません。
早めの治療のために
ですので、問診や腫瘍マーカーなどの血液検査、画像評価(超音波診断やMRI診断)などで子宮内膜症が疑われる場合は、「臨床的子宮内膜症」と診断して薬物療法を開始する方法が増えているのです。
子宮内膜症は早めに低用量ピルなどで薬物治療すれば、手術をしなくても縮小や消失が目指せます。卵巣がんなどに至る数%の悪性転化リスクも避けられるでしょう。
気軽にご相談を
子宮内膜症は月経がくるたびに発症し、妊娠や出産後に一時的に落ち着きますが、閉経まで完治することはありません。 他人と比べにくい月経症状。排便痛や下痢、性交痛など、少しでも違和感がある時は気軽にご相談下さい。痛み止めで症状を抑えるだけでなく、将来のためにできる治療の選択肢があります。


真理子レディースクリニック 院長
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。