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医学のうんちく/経験人数とがんリスク

2021年5月14日
 生涯で性的関係を持った人の数が多い人は、一部のがんの発症リスクが高い可能性があることが報告されています。

ウィーン大が研究

 ウィーン大学の研究チームは、イギリスで行われた「縦断的加齢研究」に参加した50歳以上の男性2537人、女性3185人を対象に「経験人数」と「がんリスク」の関係を調査しました。ちなみに縦断的研究とは、同一対象者を一定期間追跡する研究です。
 対象者は約75%が既婚者で、経験人数は0~1人、2~4人、5~9人、10人以上の4群に分類しました。

医学のうんちく/経験人数とがんリスク

多いほど高まるリスク

 この調査によれば、がんと診断されるリスクは、男性では経験人数が0~1人と比べ、2~4人で1.57倍、5~9人で1.50倍、10人以上で1.69倍に上昇していました。
 女性でも0~1人に比べ、2~4人で1.35倍、5~9人で1.21倍、10人以上で1.91倍に上昇していました。
 経験人数が多いほどがんリスクが高まることが示されたわけですね。

性感染症が原因か

 2つの因果関係について、一部の性感染症でがんリスクが高まることは知られています。HPV(ヒトパピローマウイルス)による子宮頸がん、B・C型肝炎ウイルスによる肝臓がんなどがそれで、経験人数が多いほど性感染症の罹患が高まるからと考えられます。  

飲酒や喫煙も影響?

 経験人数が多い人は、男女ともに概して飲酒や喫煙が多いこともがんの発症リスクと関連するかもしれません。
 また今回の調査とは別に、中咽頭がんは口腔性交のパートナーが10人以上いる人で発症リスクが上昇するとされます。

がんリスクの指標にも

 経験人数の情報入手は困難ですが、高齢者のがんリスクの指標となる可能性があります。


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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。