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泌尿器講座/尿管結石(上)

2021年4月23日
 今回から2回にわたり「尿管結石」について解説します。

強烈な痛みや血尿も

 尿管結石は腎臓に発生した結石が尿の流れに乗って尿管に下降し、その途中で詰まって尿の流れを塞き止めることで腎盂内圧が上昇し、側腹部に強烈な痛みが生じます。痛みが強い時には腸管の動きも弱くなり、吐き気がしたり嘔吐を催す場合があります。結石が動いて尿管粘膜を傷つけることで血尿が出ることもあります。

泌尿器講座/尿管結石(上)

診断はまず超音波検査

 診断にはまず超音波検査を行います。痛い側の腎臓を観察し、腎臓の中に膀胱側に流れていかない尿が溜まっている症状(水腎症)が確認できれば尿管結石を疑います。
 尿管結石の痛みは激烈で、救急搬送が必要な場合もあります。吐き気があると薬の内服が難しく、座薬や注射で痛みをとることもあります。痛み止めが効いてくると吐き気もおさまってきます。

自然排石が困難な場合

 尿管には「腎盂尿管移行部」「総腸骨動脈交差部」「膀胱尿管移行部」の3カ所の生理的狭窄部があり、結石の下降がいったんここでストップしやすくなっています。
 結石が自然排石するかどうかは、初診の段階で「結石がどこまで下降しているか」と「結石の大きさ」が関係してきます。
 全く症状がなく、健康診断の超音波検査などで偶然指摘された尿管結石は発症から長期間経過している可能性が高く、尿管の炎症や結石と尿管の癒着が起きて自然排石しない場合が多いです。

手術も選択肢
 
 1カ月程度経過観察しても結石が元の位置から動いておらず、かつ水腎症が改善していない場合は、体外衝撃波による結石破砕術や内視鏡を使った尿管結石砕石術などの手術を行います。
 次回は、尿管結石の再発予防のお話です。


泌尿器講座/尿管結石(上)
いしい腎泌尿器科クリニック院長
いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。