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泌尿器講座/血尿

2021年3月26日
 血尿とは、文字通り尿に血が混じる状態です。

目で見て分かる場合

 血尿は目で見て明らかに分かる場合と、尿検査で初めて判明する場合とがあります。また排尿時の痛みや頻尿などの症状がある場合と、無症状の場合とがあります。
 目で見て明らかな場合、何らかの疾患が隠れている確率は約50%、膀胱がんや腎臓がんといった悪性腫瘍の確率は20~25%に達します。

泌尿器講座/血尿

喫煙者は要注意

 特に注意が必要なのが、喫煙される方で無症状の場合です。血尿は一時的なことが多く、大半の人が「ストレスのせいかな」と放置することが多いのですが、ストレスで胃潰瘍にはなっても、ストレスで血尿が出ることはありません。
 血尿は膀胱がんのサインです。まして喫煙は膀胱がんのリスクを高めるとされ、肉眼で血尿が1度でも出たら必ず泌尿器科を受診しましょう。

女性に多い膀胱炎

 また女性の方で、血尿とともに排尿時に痛みがあったり、頻尿を伴ったりする時は膀胱炎のケースが多いものです。
 膀胱炎なら抗生物質による治療で血尿は止まります。尿検査で膀胱炎が認められない時は超音波検査やCT検査などで原因を調べます。

腎疾患のことも

 腎疾患の血尿では、赤血球自体の変形や赤血球円柱(尿細管を鋳型に出血した赤血球が固まったもの)を認めます。
 それ以外の血尿が泌尿器科領域になり、特に悪性腫瘍や尿路結石の有無を重点的に調べます。

検査を受けましょう

 ただ実際には多くの場合が特発性で、原因が特定できないことも。そんな時は経過観察になりますが、だからといって検査をスルーするのは避けたいもの。簡単な検査で深刻な疾患が見つかることもあるのですから。


泌尿器講座/血尿
いしい腎泌尿器科クリニック院長
いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。