徹底して山形に密着したフリーペーパー

《セピア色の風景帖》第150回 二瓶輪業店(山形市)

2021年3月12日
 自転車の価値が今よりはるかに高かったころ、子どもにとって自転車はステータスだった。
 ブリヂストン、丸石、ミヤタ、関根など多くのメーカーが競うようにドロップハンドル、ディスクブレーキ、多段変速、フラッシャーランプなどの新機種を続々と投入し、少年雑誌にも自転車広告が溢れていた。
《セピア色の風景帖》第150回 二瓶輪業店(山形市)

 そんな当時、山形市十日町3丁目の角にひときわ目立つ大きな看板を掲げていたのが「二瓶輪業店」だった。店舗自体はこじんまりした規模だったが、年季の入った木造の平屋であった。
 自転車以外に原付バイクも扱っていたのか、店の前にはホンダカブやタクトが停めてあり、店内では店主が修理にいそしむ姿があった。
 驚いたのは、はるか以前に流行ったフラッシャー付きの自転車が近年まで店内に数台置いてあったことで、これらは売れ残りというわけではなく、店内ディスプレイの役割があったようだ。

《セピア色の風景帖》第150回 二瓶輪業店(山形市)

 だがホームセンターやスーパーなどが数千円の自転車を扱い始めると街角の自転車店の廃業が相次ぎ、やがて二瓶輪業店も姿を消した。(F)