泌尿器講座/泌尿器がんを防ぐには
2021年2月26日
膀胱がん、前立腺がんなど泌尿器がんのリスクを下げるには禁煙と食生活の改善が不可欠です。
喫煙で高まる罹患リスク
喫煙により膀胱がんの罹患リスクは2~5倍に増加するとされます。1日の喫煙本数が多いほど、喫煙期間が長いほどそのリスクは高まります。逆に禁煙でリスクは下がり、禁煙期間が長いほどその効果は大きくなります。
腎盂と尿管も膀胱と同じ尿路上皮でできており、腎盂・尿管がんでは喫煙者は非喫煙者に比べ3倍の発症リスクがあるとする報告があります。前立腺がん、腎がんでも発がんと喫煙との関連性が指摘されています。

欧米化食生活の問題点
日本人の前立腺がんの罹患率は欧米人に比べ少ないとされてきましたが、近年は食生活の欧米化で日本人の罹患率も上昇傾向にあります。
食生活の欧米化とは高脂肪で肉中心の食事を指し、動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸は前立腺がんのリスクを高めるとされています。
お勧めは和食
お勧めしたいのは魚、豆腐や納豆といった大豆製品を中心とした和食。イワシやサバといった青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)や、大豆に含まれるイソフラボンは前立腺がんの予防やがん細胞の増殖を抑制するとの報告があります。
緑茶に含まれるカテキンやトマトに含まれるリコピンは前立腺がんの発症リスクを下げる効果があるとされます。
簡単なので習慣づけを
喫煙や食生活などの生活習慣と発がんとの関係を述べた文献のエビデンスレベル(科学的根拠の信頼性の度合い)は高くないのですが、朝食に納豆を食べたり豆腐の味噌汁を飲むことは安全にしかも簡単に取り入れられる習慣です。皆さんも実践されてはいかがでしょうか。


いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。