《おしえて!! 編集長》 今さら聞けないコムスン問題
2007年6月22日

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新聞とかテレビなんかで介護会社「コムスン」が悪いことをしてたっていうニュースを見聞きするんですが、忙しさにかまけて正確にというか、実はほとんど理解できていません。教えてください。? |
勤務実態を偽装申告
「高齢化時代に対応し、介護を社会全体で支えていこうと介護保険制度がスタートしたのが2000年4月。これをきっかけに民間の会社やNPO法人なんかが相次いで介護分野に参入してきて、その中でグッドウィル・グループ(東京・港)傘下のコムスンが最大手だったんだ」
「でも、介護事業所として認定されるには決められた数の職員を配置する必要があったんだけど、業務拡大を焦ったのか、コムスンは勤務実態のない職員を雇用しているように偽装申告するなどの不正行為が複数あった」
期限くれば事業延長不可
「直近で明らかになった不正行為は06年12月。ここを起点としてコムスンは向こう5年間は新たな事業所をオープンできなくなったほか、すでにある事業所が事業期間(6年)の延長を申請しても受理されないという罰則を受けることになったんだ」

県内には21ヵ所
「庄内を除く最上、村山、置賜の3地区に21ヵ所ある。いろんな報道では『訪問介護最大手のコムスン』って形容されてるけど、山形だと55ヵ所を持つニチイ学館(東京・千代田)が上回ってる」
「で、コムスンが山形で11年12月まで新たな事業所をオープンできないのはもちろん、来年3月末で4ヵ所の既存の事業所がオープンして6年の期間が過ぎる。他の事業所も順次、更新時期を迎え、現状だと16事業所はすべて閉鎖ということになっちゃう」

事業譲渡で混乱回避?
「このままだと、お年寄りはもちろん、16事業所で働く職員も路頭に迷うことになる。でも、そうならないように国とか県もコムスンに要請していて、コムスンは介護事業から全面撤退し、ニチイ学館など他社に全事業を譲渡する方向で話が進んでいる」
県などが相談窓口
「譲渡が決まればコムスンの既存事業所も継続できるし、新規オープンも可能。だから実害は少ないと思うよ。ちなみに県内でコムスン事業所の利用数は延べ1400人、職員数は230人。県では長寿社会課のほか、4総合支庁で相談窓口を設けている」
「これまでのところ利用者の動揺は少なく、どちらかといえば従業員の不安が多いみたいだね」