泌尿器講座/過活動膀胱(上)
2020年11月27日
①尿の回数が多い②急に尿意を催して我慢できないことがある③我慢できずに漏らしてしまったことがある――などの経験や症状が一つでもある場合、「過活動膀胱」が疑われます。
40歳以上の14%が!
過活動膀胱の主な症状は、突然起こる我慢できないような強い尿意(尿意切迫感)や、排尿のためにトイレに行く回数が多い(頻尿)、夜間寝ている間におしっこで何回も起きる(夜間頻尿)、トイレまで我慢できずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)などで、日常生活に支障をきたすやっかいな病気です。
ただ国内の患者数は推計1000万人以上。40歳以上の男女の14.1%を占めており、決して珍しい病気ではないのです。

セルフチェックを
診断には過活動膀胱症状質問票(OABSS)を用います。先ほどの4症状のうち一つでも当てはまる方はセルフチェックをしてみましょう。
質問票の質問3が2点以上で、かつ合計点数が3点以上なら過活動膀胱です。5点以下が軽症、6~11点が中等症、12点以上が重症です。
生活上の注意点
生活上の注意点は、カフェインや過剰な水分の摂取を控えること。また専門医の指導のもと、少しずつ排尿間隔を延ばすことで膀胱容量を増加させる「膀胱訓練」を繰り返せば改善が認められたという報告があります。
産後の腹圧性尿失禁の治療に使われる「骨盤底筋運動」も有効で、ネット上で同運動の動画がみれるほか、泌尿器科でやり方を解説したパンフレットもあります。
次回は薬物療法についてお話しします。


いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。