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医学のうんちく/人類と類人猿の分岐

2020年10月9日
 近年、DNAの塩基配列の比較から人類と類人猿の分岐時期を推測できるようになりました。

人類の祖先は?

 人類の祖先は、まずオランウータンの祖先と1300万~1500万年前に分かれ、ゴリラの祖先と約700万年前、チンパンジーの祖先と500万~600万年前に分かれたとされます。
 英オックスフォード大学の研究チームは2014年、チンパンジーの遺伝子突然変異を調べ、遺伝的分化を約1300万年前と推測しています。類人猿に似た共通祖先がチンパンジーとヒトの遺伝的分化後もしばらく生き延びていた可能性があります。

医学のうんちく/人類と類人猿の分岐

地中海付近で分岐か

 人類の化石で最も古いのは、アフリカ・チャドで発見された600万~700万年前のものとされていました。
 ところが17年、ギリシャとブルガリアで約720万年前のものとみられる人類の化石が相次いで発見され、類人猿からの分岐がアフリカではなく地中海エリアで起きたのではないかとも考えられています。

類人猿との違い

 米ワシントン大の研究チームが18年、高精度の解析方法を用いて3種の類人猿とヒトのゲノム(遺伝情報)を調べたところ、進化の過程で起きた変異が約1万8000も存在することを確認しました。
 同大学はまた、古代人を含む人類において自閉症の発症に関与する特定遺伝子が認められ、チンパンジー、ネアンデルタール人、デニソーワ人では認められないことを報告しています。

遺伝子構造に隔たり

 さらに重複を繰り返す別の特定遺伝子の近くには類似の遺伝子が存在し、これらの遺伝子間相互での遺伝子変換による分子の多様性を生み出すことが人類でしかできないことを発見しました。この分子は神経細胞の分化成熟速度を抑えると考えられています。


医学のうんちく/人類と類人猿の分岐
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。