泌尿器講座/前立腺肥大症(中)
2020年9月25日
前立腺肥大症のお話2回目です。今回は症状が疑われる人に行う検査について解説します。
超音波検査
超音波検査(エコー検査)は超音波による画像診断法です。超音波を出すプローベと呼ばれる機械をお腹の上に当てるだけで、痛みもなく簡単にできるのが特徴です。この検査により前立腺の大きさ(体積)のほか、膀胱に残った尿の量を測定することができます。
例えば、前立腺の大きさが60ccほどの大きさで、前立腺が膀胱を押し上げているのが画像で確認された場合、前立腺肥大症は「中葉肥大」とよばれるタイプであると考えられ、特に排尿の勢いが悪くなります。

尿流測定検査
尿流測定検査はトイレ型の機器に排尿することで診断する検査方法です。普段と同じように排尿するだけで、1回の排尿量、尿の勢い、排尿時間などの情報を簡単に得ることができます。
この検査を行うためには膀胱に尿がしっかりたまっていることが必要です。
グラフで解説すると
尿流測定検査によって得られたデータで具体的にお話ししましょう。
(A)はほぼ正常に近い人です。速やかに最大尿流に達し、短時間で排尿が終了しています。
(B)は前立腺肥大症で治療中の方の尿流測定です。少し勢いが悪く、尿量の割に排尿時間が長めですが、まずまずの排尿状態を保てています。
(C)は前立腺肥大症による排尿困難の症状が強い方です。なんとか自力で排尿していますが、勢いも悪く、尿閉ギリギリの排尿状態です。
早めの治療を
前立腺肥大症は放置しておくと膀胱の機能が落ちてしまいます。(C)のような状態になる前に治療することが大切で、まずは専門医に相談することをお勧めします。


いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。同大附属病院、市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医。