徹底して山形に密着したフリーペーパー

出羽三山 風力発電所問題

2020年9月11日

風力発電自体は否定しないが、場所を考えて欲しい。首都圏の大企業は、地方の広大な土地に何を建ててもいいと思っている。そこが持て余している土地なのか、何かを大切にしてそのまま手付かずにしている土地なのかを見極めもせず、またどれほどの想いが地元にあるのかを全く考慮せず、利益のためだけに使おうとしていることが許せない。一言でなくてすみません(寒河江市、C・Yさん)
歴史ある信仰の地をこんなに簡単に壊そうとするなんて信じられません。一度壊したら戻らない。出羽三山に守られている山形が好きなのに。絶対反対です(山形市、Y・Uさん)
庄内に住んでいながら出羽三山に風力発電計画があるなんて知りませんでした。庄内ならではの田園風景や貴重な出羽三山を大事にして欲しい(酒田市、N・Sさん)
山形市民の私でも、出羽三山は昔からある信仰の山というイメージがあるし、景観面からも反対されるのは当然と思う。他の場所にするべき(山形市、Y・Mさん)
出羽三山には年に5回は詣でています。風力発電は必要ですが景観に合いません。反対です(新庄市、T・Nさん)
小鳥のさえずりや川の音を聴きながら出羽三山神社の階段を登るのが楽しみだったので残念の一言です!編集長の出羽三山神社に対する熱意が伝わってきました(天童市、E・Tさん)
脱原発はわかる。でも羽黒山は行ったことがなくても荘厳で守るべきところ。事業者の前田建設工業は周囲の自然や空気も含めて大事なものという県民の感覚まで理解してくれているのか(上山市、S・Kさん)
庄内平野の風車を見た時にとても違和感を感じました。あれが出羽三山に建設されるのはかなりミスマッチだと思います(仙台市、M・Tさん)
やっぱり景観が心配ですね。動植物等の生態系も影響ないのかな?(東根市、H・Tさん)
神棚に扇風機はいらないと思います(鶴岡市、Y・Kさん)
神聖な地に巨大風車を作るとはバチ当たりめ!(山形市、M・Kさん)
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もってのほか!ただ前田建設工業だけが悪いわけではないですよね。しっかり説明しなかった県も悪い(東根市、M・Hさん)
昔から信仰の深い出羽三山に風車が建つのは反対です。それにしても県が誘致していたとは!これもまた驚きです(鶴岡市、T・Wさん)
県が「適地」として公表した11カ所のうちの「庄内内陸部」こそが今回の計画場所だったとは!常識的に考えられず、県は何を考えて仕事をしているのか(山形市、M・Jさん)
出羽三山に風力発電は反対です。県は何を考えているのか!怒りが込み上げてきます(天童市、A・Mさん)
県で計画しておきながら知事の「ありえない」にはガクッときました(山形市、T・Kさん)
県が適地として公表しておきながら知事の「ありえない」発言はそれこそありえない。事業者が「景観に注意して着工します」と言えば妨げられないと思います(上山市、M・Sさん)
やまコミを読んで全体の構図がよく理解できました。さすがやまコミ!2011年に県が「適地」として公表した時点で騒ぐべきでしたね。今さら遅い?(山形市、K・Kさん)
文字通りありえない。県の初動対応がズレていた?編集長、当時の議事録を掘り下げてはどうでしょう(山形市、Y・Uさん)
昨年10月に最初の話があったというが、その時に断るべきだった。話が具体化してからでは企業も引くに引けなくなる(山形市、Y・Fさん)
一大事ですね。県も罪なことを放っておいてはマズいですね。事業者もこれまでに相当金かけてるんだろうな~(米沢市、T・Iさん)
前田建設工業に「出羽三山、間違いでした、すみませんでした。反対運動も本当にすみませんでした。全部なかったことにしてください」と謝りに行くしかないのでは?(山形市、Y・Sさん)
県は出羽三山を観光戦略として利用しようとしていたのにも関わらず風力発電を誘致し、観光地としての価値を自ら下げるようなことをしているのが矛盾していると感じました。私は大学で民俗学を専攻しており、出羽三山を研究対象としようと思っていたので、こんな事態になり残念です(山形市、M・Tさん)
県、関係市町村、現地の方々、前田建設でたっぷり議論して欲しい。安倍政権みたいな数の論理にならないように(山形市、Y・Sさん)
縦覧を開始して県民の意見を届けられるとのことですから、ここでNOを言うべきでしょうね。ここで何も言わないで騒いでいるだけでは行政は動かないと思います(天童市、M・Mさん)
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山形市に住んでいる私には興味がありません(山形市、S・Kさん)
安全が確約されているなら賛成(山形市、E・Kさん)
エコな風力発電は賛成派です。出羽三山の中でなく近くならそこまで景観に影響はないかも。新たな観光名所になるかも(米沢市、K・Yさん)
山岳信仰や日本遺産などは尊重すべきだけど、それらと構造美も見てみたい気がする。鳥海山の麓や海にはすでにたくさんの風力発電所があり、それらは今やマニアが好むスポットになっている(山形市、K・Iさん)


 

出羽三山 風力発電所問題
出羽三山 風力発電計画 ありえない

作家 佐藤 賢一

じめまして、私ども前川建設と申します。山形市北部に有名な観光地ありますね、山寺立石寺。このたび、あそこから南東1キロほどのエリアに、風力発電施設を建設することになりました。
 ええ、そうです。アメリカの砂漠なんかに、えんえん並んでおりますね。白い鉄柱のてっぺんで、白い3枚プロペラが回っている、巨大なカザグルマといいますか、風車のことでございます。あれと同じものを山寺にも、50基ほど建設いたします。

出羽三山 風力発電所問題

 いえね、東京から来て、正直、驚いたんですが、地元には反対の声もあるんですね。これじゃあ、「閑けさや、岩にしみ入る、蝉の声」じゃなくて、「うるさいや、岩に羽根音、ひゅんひゅんひゅん」だなんて、うまいこと仰いましてね。
 とはいえ、山形県庁さんが「敵地」に指定なされたエリアですので、私どもに文句をいわれましても、ねえ。
 本日は環境アセス法に基づく「計画段階環境配慮書」をお持ちしたのですが、こういう分厚い書類まで作られる段階、つまり、もう着手の段階なわけですし。
 えっ、文化遺産?信仰の聖地?歴史的な景観?重要な観光資源?いやはや、今やエコの時代ですよ。風力発電、それを含めた再生可能エネルギーの開発ですね。これは県庁さんも重要戦略と考えておられ──。

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って、ありえない。実際、冗談である。こんなこと、本当に起こるはずも、起きてよいはずもない。少なくとも地元の人間には考えられない。
 私は鶴岡市民で、山形市民でないが、それでも山形県民として、山寺に風力発電施設だのと、冗談でなければ口にすることも憚られる。だって、ほとんど罰当たりだろう。
 ところが、である。その罰当たりが冗談でなくなった場所がある。8月30日の発表によると、前田建設工業という東京のゼネコンは、鶴岡市と庄内町にわたる二つのエリアに、全部で40基を数える大規模風力発電施設を建設しようとしている。
出羽三山 風力発電所問題

 山形県庁が「適地」に指定した「庄内内陸部」だからというが、そこは出羽三山の麓だ。最も近い建設予定地は、羽黒山の出羽三山神社から1キロも離れていないのだ。
 つまりは地元の文化遺産、信仰の聖地、歴史的な景観、重要な観光資源、ぜんぶ滅茶苦茶である。
 ありえない。起きてよいはずがない。それが進められようとしている。横目にしながら、なお平気でいられるのか。山形県民であっても、鶴岡市民でなく山形市民なら特に何も思わないのか。 
 「適地」に定めて、県庁職員は思わなかったらしいが、皆さん同じで、気にもならないのか。あるいは山寺立石寺は耐えられないが、出羽三山なら構わないということか。 
 それを聞きたくて、今回は書かせてもらった。そして、もしそうなら、以後いっそ鶴岡や庄内のことは、「適地」ならざる「敵地」に指定してほしい。

出羽三山 風力発電所問題

(さとう・けんいち)1968年鶴岡市生まれ。鶴岡南高から山大教育学部に進み、卒業後、東北大院修士課程修了。93年「ジャガーになった男」で小説すばる新人賞、99年「王妃の離婚」で第121回直木賞受賞。2014年「小説フランス革命」で毎日出版文化賞特別賞を受賞。鶴岡市在住、52歳。