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医学のうんちく/コロナ感染と性差

2020年9月11日
 新型コロナウイルス感染症に男女差(性差)はあるのでしょうか。

男性の死亡率が高く

 英ニューカッスル大の調査によれば、コロナ感染者に男女の差は認められませんでしたが、死亡の男女比は1.35と男性が上回っていました。
 過去に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、さらに1918年のスペイン風邪でも男性患者の死亡率が高かったことが報告されています。

医学のうんちく/コロナ感染と性差

喫煙が影響か

 性差が認められた要因の一つに喫煙が指摘されています。男性の喫煙率は女性よりも高く、肺や心臓の慢性疾患を罹患する傾向が強いうえ、このような慢性疾患は新型コロナで重症化するリスクが高いためです。

ホルモンとの関連も

 米アイオワ大学の研究チームが2017年、オスとメスのマウスにSARSを引き起こしたウイルスを感染させたところ、オスで高い死亡率を示しました。ただ、メスから卵巣を摘出した場合は、メスの死亡率が大幅に上昇しました。女性ホルモンのエストロゲンの存在が死亡率を低下させたようです。
 遺伝子構造の約79%がSARSと一致する新型コロナでも、人間に対する作用にホルモンが関与する可能性があります。

男性受難のウイルス

 新型コロナは、ヒトの気道細胞表面にある特定の酵素に結合して細胞内に侵入します。この酵素は女性よりも男性に多く認められるため、男性の脆弱性を高めている可能性があります。またこの酵素は喫煙、心疾患、高血圧、肺疾患でも肺に多く発現します。
 さらに、米エール大学の研究チームは、感染細胞の殺傷に関与する免疫応答が女性患者で男性患者より強力で持続的であることや、細胞から分泌され炎症を起こすたんぱく質が男性患者に多いことを報告しています。


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山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。