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泌尿器講座/尿検査について

2020年7月24日
 私たちが毎日排出する尿は健康状態を示すバロメーター。今回は泌尿器科で行う様々な尿検査についてのお話です。

基本は定性検査

 尿検査の基本は、健康診断でも一般的に行われる「尿定性検査」です。試験紙を尿につけるだけで尿中に血液や糖、タンパクが出ていないかや、尿が酸性かアルカリ性かが分かります。
 また尿に炎症の細胞や細菌が出ていないか、尿が濃縮されたものか薄いものなのかも明らかになります。試験紙によっては、尿中に出る1日のタンパク量を推定することもできます。

泌尿器講座/尿検査について

血球を調べる尿沈渣

 尿定性検査とは別に、泌尿器科では尿を遠心分離し、沈殿した成分を顕微鏡などで分析する「尿沈渣」という検査を行うことがあります。
 この検査では尿中の赤血球や白血球の数を数えることができ、血尿や炎症がどのくらい重症なのかが判断できます。
 腎疾患や、腎盂尿管や膀胱尿道由来の泌尿器科疾患、悪性腫瘍発見のきっかけになることもあります。

感染症を診る培養検査

 膀胱炎や腎盂腎炎など尿路感染症が疑われる場合は「尿培養検査」を行います。どの抗生物質が効くか判定する「薬剤感受性検査」を提出し、抗生物質の効果を確認することができます。
 初回の治療で処方した抗生物質が効かない細菌(耐性菌)が検出された場合は、お薬を変更していただきます。

話題のPCR検査も

 コロナウイルスの検査ですっかり有名になったPCR検査ですが、出始めの尿で調べる「尿PCR検査」というのもあります。尿道中のクラミジアや淋病の有無を調べる場合に用いられます。


泌尿器講座/尿検査について
いしい腎泌尿器科クリニック院長
いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年(令和2年)5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。