山形でも脚光 古民家再生!
2007年3月9日
古くから残る農家や町家などを現代のライフスタイルに合わせて改修・改造する「古民家再生」が全国で静かなブームを呼んでいる。数十〜数百年の風雪に耐え抜いた太い梁(はり)、黒光りする柱などは独特の風合いを持ち、再生した家屋は重厚な存在感をみせつける。環境や健康を重視する生活スタイル「ロハス」(キーワード1)に通じる面もあり、古民家が各地に点在する山形でも再生ビジネスが活発化してきた。

テレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」が火をつけたとされる現在の住宅リフォーム人気。古民家再生はその究極と位置づけられており、古民家をその場所でリフォームする場合もあれば、いったん解体し、その材料を使って他の場所に移築する場合もある。
「ロハス」にも合致
古民家は全国的に高度成長期に次々と壊され、バブル期を経て都市部ではほとんど姿を消した。見直し機運が高まってきたのはバブル崩壊以降。豊かさの質が問い直され、現在は「癒(いや)し」「リサイクル」「ロハス」などがキーワード。こんな世相を反映してか、独特の風合いやぬくもりを持つ古民家が脚光を集めている。
柳邸修復で話題に
全国的な話題になったのは「民芸(みんげい)運動」で名高い柳宋悦(キーワード2)の自宅跡の修復で、東京・目黒区駒場の旧柳邸は周囲の都会の風景とのコントラストが絶妙なたたずまい。昨年6月から一般公開されており、多くの来館者が押し寄せる人気スポットになっている。
「ロハス」にも合致
古民家は全国的に高度成長期に次々と壊され、バブル期を経て都市部ではほとんど姿を消した。見直し機運が高まってきたのはバブル崩壊以降。豊かさの質が問い直され、現在は「癒(いや)し」「リサイクル」「ロハス」などがキーワード。こんな世相を反映してか、独特の風合いやぬくもりを持つ古民家が脚光を集めている。
柳邸修復で話題に
全国的な話題になったのは「民芸(みんげい)運動」で名高い柳宋悦(キーワード2)の自宅跡の修復で、東京・目黒区駒場の旧柳邸は周囲の都会の風景とのコントラストが絶妙なたたずまい。昨年6月から一般公開されており、多くの来館者が押し寄せる人気スポットになっている。

県内でもビジネス機運
古民家といえば、ここ山形には随所に。最近の目立った活用例だけをひろってみても、洋菓子・パン製造のシベールが山形市内の古民家を移築して宮城県川崎町にそば店「山彼方(やまかた)」をオープンしたり、鶴岡市の商家の蔵を移築して宮城県登米市の鰻屋がリニューアルしたり──。
特に「山彼方」は美しく経年した太い梁や柱が目を引き、泰然とした姿が時の重みを感じさせる。隣には秋田県鷹巣町から移築した百年以上前の米蔵もあり、明治以前の世界にタイムスリップしたような気分が味わえる。

業界首位の住友不動産
再生ビジネスで業界を席巻(せっけん)しているのが住友不動産だ。家が古くても梁や柱などの構造体は新材より丈夫なことが多いことに着目した同社は1996年、完全に解体して建て替えるのではなく、活かせる部分は使って住まいを再生する「新築そっくりさん」を開発した。現在この分野では業界トップシェアを獲得したという。
山形と宮城での事業を統括する同社ハウジング事業本部宮城支店の岡田泰至支店長は「家は人生の証。家族の思い出とともに住み継ぐ喜びは古家(ふるや)再生ならでは」とビジネス拡大に意欲的。
耐震性にも考慮した現代建築の技法を使い、「暗い」「寒い」「重苦しい」イメージが残る古民家を、「明るく」「暖かく」「開放感がある」新しい家によみがえらせるというのが「新築そっくりさん」。先祖から受け継いだ家を若い世代にも対応できる間取りや設備に一新できるという。
かかる費用それなりに
ただ古民家再生は古い家を安く再生する「安かろう」意識では進められない点に注意が必要。老朽化した部分は取替え施工するため、古民家再建築に比べれば安くできるものの、ローコスト新築住宅に比べれば高い印象も。岡田支店長は「昔から受け継いだ家に愛着があり、それを現代に活かしたいという強い意識があるかどうかがポイント」と話している。
再生ビジネスで業界を席巻(せっけん)しているのが住友不動産だ。家が古くても梁や柱などの構造体は新材より丈夫なことが多いことに着目した同社は1996年、完全に解体して建て替えるのではなく、活かせる部分は使って住まいを再生する「新築そっくりさん」を開発した。現在この分野では業界トップシェアを獲得したという。
山形と宮城での事業を統括する同社ハウジング事業本部宮城支店の岡田泰至支店長は「家は人生の証。家族の思い出とともに住み継ぐ喜びは古家(ふるや)再生ならでは」とビジネス拡大に意欲的。
耐震性にも考慮した現代建築の技法を使い、「暗い」「寒い」「重苦しい」イメージが残る古民家を、「明るく」「暖かく」「開放感がある」新しい家によみがえらせるというのが「新築そっくりさん」。先祖から受け継いだ家を若い世代にも対応できる間取りや設備に一新できるという。
かかる費用それなりに
ただ古民家再生は古い家を安く再生する「安かろう」意識では進められない点に注意が必要。老朽化した部分は取替え施工するため、古民家再建築に比べれば安くできるものの、ローコスト新築住宅に比べれば高い印象も。岡田支店長は「昔から受け継いだ家に愛着があり、それを現代に活かしたいという強い意識があるかどうかがポイント」と話している。

地元企業「たくみ」
古民家再生で実績がある地元企業が山形市に本社を置く「たくみ」だ。古民家にとどまらず、県内にある約40件の有形文化財のうち10件以上の修復を手がけた実力派で、山寺にある「風雅の国」の紅花屋の再生や、緑町の一向山西称寺の庫裏新築も同社の技術が活かされた。
佐藤邸の再生で全国区に
同社の存在を全国にPRしたのが、宮城県石巻市の佐藤邸の修復だ。
2003年に起きた宮城県北部地震により、震源地に近かった旧河南町の佐藤成喜さんの築120年を超える茅葺きの古民家は壊滅的な損害を受け、佐藤さんは新築か修復かの選択を迫られた。
悩んだ末、地元の業者に紹介されて修復を依頼したのが「たくみ」。基礎工事や部材交換、将来の地震に備えた改修などで新築するのと同じ費用がかかったが、被災して無残な姿をさらしていた家は翌年モダンな古民家としてよみがえった。内部は車椅子で自由に移動できるバリアフリー化し、床暖房も入れた。
この顛末(てんまつ)が建築雑誌に紹介され、同社の知名度は全国区に。佐藤靖之社長は「100年の風雪に耐えた古民家は、手直しすればこの先100年もつ。費用はかかるが、長い目でみて判断して欲しい」と話す。
キーワード1/ロハス(LOHAS)
「Lifestyles(生活様式) Of Health(健康) And Sustainability(持続性)」の略で、健康や環境保護を重視した生活スタイルをさす。1980年代後半から欧米で広まり、日本でも雑誌の特集などで知られるようになった。
キーワード2/柳宋悦(やなぎ・むねよし 1889〜1961)
雑誌「白樺」創刊に参加、その後、生活に即した民芸品に注目して「用の美」を唱え、民芸運動を起こした。36年、駒場に日本民芸館を設立する。日本の朝鮮植民地政策を批判、同時に当時は日本で評価の低かった朝鮮美術、特に陶磁器に注目して収集したことでも知られる。