《おしえて!編集長》 どうなるの? 自動車教習所
2007年4月13日
やまがたコミュニティ新聞のカッシーです。前号に掲載した「山形第一自動車学校、4月閉鎖へ」の記事を読んだ私の母、免許をとったのが山形第一だったらしくてショックを受けてました。山形の自動車教習所で今なにが起こっているのか、何でも知ってて頼りになる編集長に聞いてみました。

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どうなってるんですか? |
少子化で免許人口減少 「全国的に少子化が進んでいるのは知ってるよね。教習所って生徒の8割までを20歳前後が占めるんだけど、平成2年(1990年)に220万人だった全国の新規免許取得者は、少子化の影響で今年は120万人に減少するといわれてる」
「ただ山形県内で見ると減少幅はそれほどでもないんだ。県内で若者が増えてるわけでもないのになぜだと思う?答えは山形は全国で最も合宿免許への取り組みが早くて、地元生徒の減少分をカバーするため合宿免許で首都圏や関西方面から若者を集めてきたんだ」
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へ〜え。私は通いで蔵王自動車学園(山形市)で免許とったんですけど、東京出身の編集長はどこだったんですか? |
山形は合宿で先行
「もう20年以上も前で忘れてたんだけど、思い返せば赤湯自動車学校(南陽市)の合宿。山形でも合宿を始めたのは赤湯自動車学校が1番早かったらしくて、俺、一期生じゃないのかな」

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どうして合宿にしたんですか? |
昔は生徒虐待?
「今は考えられないだろうけど、当時の教習所のイメージって『怖い』『厳しい』。大学時代に教習所に通ってるヤツらから『教官にイジメられた』『殴られた』とか聞かされてて、通うのが恐ろしくて(笑)」
「そうこうしてるうちに免許とるには卒業前の春休みしかなくなって、決死の覚悟で赤湯へ。合宿でも当時はまだ教官も怖かったり、ナマってて言ってる意味がチンプンカンプンだったり。宿舎はタコ部屋状態だし、周りは田んぼばっかで娯楽はないし…(苦笑)」
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赤湯の人たちが読んだらどうするんですか(怒) でも、そんな時代があったんだあ。 |
現代はサービス競争
「少子化の今は180度変わって、生徒は神様の時代。どの教習所も教官のマナーや指導力のレベルアップに力を入れており、完全にサービス業になってる。全国には教習車両がベンツやBMWだったり、教官の顔写真や出身地、血液型なんかをパネルで表示して生徒が指名する教習所もある。まるでホストクラブだよね(笑)」
「合宿で先行した山形だけど、東北でもここ1〜2年で宮城や秋田の教習所が始めており、山形の独壇場は崩れつつある。つまりサービスの質を競う全国的な競争に巻き込まれているわけだ」
「宿泊施設はホテルやロッジ、都市型のアパートやマンションが主流で、観光感覚で若者をひきつけようというところが多い。それ以外のオプションも重要で、岩手のある教習所なんかは農家に宿泊して農作業を体験しながら免許がとれることを売り物にしてる」
「県内だと教習期間中に米沢牛の焼肉パーティーを開催する松岬自動車学校(米沢市)が全国ニュースでよく取り上げられてる」
料金も下落傾向
「サービス競争と同時に価格競争も激しい。だいたい15〜17泊のコースが多いんだけど、往復の交通費や食費、宿泊費込みで30万円以下が一般的。山形じゃないけど、中には首都圏で通いでとるより安い20万円台前半というケースもある」

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経営環境は厳しくなりますよね。これから県内の教習所はどうなっていくんでしょうか? |
再編のカギ握るマツキ
「ポイントは2つだ。ひとつは長井自動車学校(長井市)を核とするマツキグループの動向。今年は暖冬で桜全線の北上が早いけど、マツキも県内の教習所を次々に買収、急ピッチで県内を北上している。現在は県内30教習所のうち8教習所までがマツキグループで、生徒数シェアは40%超に達している」
「同社によれば、グループ化で規模を拡大することによって教官のレベルアップが図れるメリットがあり、ひいては生徒数の拡大に結びつけられるという。山形第一のケースもそうだけど、経営悪化や後継者難に陥った教習所の駆け込み寺的な存在になっており、今後も再編のカギを握るのは間違いない」
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もうひとつは? |
道交法改正で対応に差
「道路交通法の改正で6月2日から車両重量5000キロを超える従来の大型車が中型車と位置づけられ、新たに1万1000キロ超が大型車になる。新大型車の免許取得に対応するとなると、新たなコース整備や新大型車両の導入など億単位の新たな投資が必要になる」
「県内の全30教習所のうち対応するのは約10教習所。内陸部だと白鷹自動車学校(白鷹町)、太陽自動車学校(山形市)、村山自動車学校(村山市)のマツキグループ3教習所のほか、尾花沢自動車学校と楯岡自動車学校が昨年10月に合併して発足したさくらんぼドライビングスクール(村山市)、天童自動車学校(天童市)なんかが新規投資して新大型車免許に対応する予定だ」
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新規投資するところと、しないところがあるんですね。 |
教習所も格差社会へ
「地価が高い都市圏だと土地を確保してのコース整備は難しい。県内の新規投資組にすれば、今は苦しいけど、耐え抜けば新大型免許取得を希望する都市圏の生徒を合宿で獲得できるという期待がある。現実にそうなれば見送り組との格差が広がっていく可能性もあるね」
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ふーん、県内の教習所も「格差社会」になっていくわけですか。 |