泌尿器講座/夜間頻尿
2020年6月26日
やまコミ読者の皆様、初めまして。「いしい腎泌尿器科クリニック」の石井達矢と申します。今回から月1回、泌尿器科の身近な疾患について解説していきます。初回は「夜間頻尿」です。
2回以上なら要注意
夜間頻尿は「夜、排尿でトイレに行くため1回以上起きなければならない」状態と定義されています。排尿回数が2回以上になると、睡眠不足になったり、暗がりで転倒したりと、生活の質にも影響しかねません。
原因には前立腺肥大症や過活動膀胱といった泌尿器科疾患も考えられますが、夜間の尿量増加、睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群などが関係していることもあります。

原因は排尿日誌で
原因を突き止めるには1日の排尿の回数や量を記録する「排尿日誌」が効果的です。右に排尿日誌の1例を示しました。
この排尿日誌をみると1回の排尿量が日中より就寝中の方が多く、1回の量の最大値が400ミリリットルと十分なため、睡眠障害が原因ではなく、膀胱が尿を貯める力にも問題がないと分かります。
一方で、1日の尿量に占める夜間の割合は59%と夜間多尿型(高齢者の場合は33%以上)で、1日の尿量も2790ミリリットルとやや多めでした。
水分の取りすぎはNG
実際、患者さんに伺うと普段から塩分や水分を取りすぎていることが原因と分かり、こうした生活習慣の改善をご理解いただきました。
ちなみに、1日の水分量は体重の約2%で十分とされています。
「年のせい」と考えず
夜間頻尿は体のむくみのサインだったり、心不全など深刻な疾患の前兆のこともあります。中には診療のための尿検査で糖が検出され、初めて糖尿病と診断される方もいらっしゃいます。
夜間頻尿を「年のせい」と軽く考えずに、お困りの方はかかりつけの先生にご相談なさってはいかがでしょうか。


いしい腎泌尿器科クリニック院長 石井 達矢
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年(令和2年)5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。
●(いしい・たつや)1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年(令和2年)5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。