嶋地区に大型SC〜秋開業 / 馬見ケ崎、空洞化の危機に
2007年4月27日
山形市が整備中の嶋土地区画整理事業地内(写真右)にこの秋、県内陸部では最大級のショッピングセンター(SC)が誕生する。食品スーパー、ホームセンター(HC)、衣料品、雑貨など出店する業種は多岐に及んでおり、中心街や他地区の郊外店舗に影響を及ぼすのは確実な情勢。特に隣接する馬見ケ崎周辺では既存店が嶋地区に移転して空洞化する事態にも見舞われそうで、さながら「地区のリストラ」が進行する見通しだ。

嶋土地区画整理事業の事業期間は1998年4月から2008年3月末までで、組合員数は210人、施工面積は97.2ヘクタール。総事業費は159億円に達し、組合施行方式では山形市内最大規模の区画整理事業になる。
05年度から保留地の販売がスタート、すでに都市計画道路「上山山形西天童線」「天童鮨洗線」が開通し、約1600戸の宅地分譲も計画されている。こうした人口増や交通アクセスの良さに着目して数多くの有力企業が嶋地区への出店に名乗りをあげている
05年度から保留地の販売がスタート、すでに都市計画道路「上山山形西天童線」「天童鮨洗線」が開通し、約1600戸の宅地分譲も計画されている。こうした人口増や交通アクセスの良さに着目して数多くの有力企業が嶋地区への出店に名乗りをあげている


食品スーパー
東北最大の売上高と店舗数を持つイトーヨーカ堂グループのヨークベニマル(福島県郡山市)が県内13店目を出すほか、県内を南下中のおーばん(尾花沢市)が5月18日オープンの「山辺店」に続く9店目を構える。特におーばんの店舗面積は1985平方メートルと既存店中最大。両社の出店により、馬見ケ崎のジャスコ山形北ショッピングセンターの食品部門のほか、県内スーパーの雄であるヤマザワが桧町に持つ「北町店」との顧客争奪戦が激しくなりそうだ。
家電量販店
デンコードー(宮城県名取市)とケーズデンキ(水戸市)がそれぞれ用地を取得して出店準備を進めていたが、その後に両社は経営統合することで合意。嶋地区は両社にとって統合発表後の初の出店になり、取得面積で上回るデンコードーが出店することに。県内では8番目の店舗で、面積は既存店中最大の5787平方メートル。これに伴い馬見ケ崎にある既存店「山形北店」は閉鎖し、南二番町の「山形南店」の閉鎖も検討中という。
H C
ヨークベニマルに隣接してダイユーエイト(福島市)が出店する。県内では8店目、市内では「花楯店」に続く2店目で、地元のジョイが馬見ケ崎で展開する「山形北店」と激突することになる。ダイユーエイトは大手HCのホーマック(札幌市)と資本・業務提携しており、イオン傘下のHC、サンデー(青森県八戸市)と資本・業務提携しているジョイとの攻防は2大グループの代理戦争ともいえそうだ。
衣料品
ユニクロを展開するファーストリテイリング(山口市)が大型店出店で大和ハウス工業(大阪市)と提携し、この一環として嶋地区で大和グループが開発する商業ゾーン「フレスポ」内に1650平方メートルの大型店を開設予定。馬見ケ崎の既存店は閉鎖するとみられている。このほか「洋服の青山」を展開する青山商事(広島県福山市)と「紳士服のコナカ」のコナカ(横浜市)も嶋地区への出店を表明済み。青山商事は同一商圏内の桧町に「北山形店」、コナカは大野目に「北山形店」をそれぞれ展開しており、両社が既存店の扱いをどうするかが注目される。

インテリア雑貨
パスポート(東京・品川)が「山形エスパル店」「三川店」に続く3店目を「フレスポ」内に出店、しまむら(さいたま市)も婦人雑貨のシャンブルを嶋地区で展開する。この分野では3月、馬見ケ崎に酒田市を拠点にする「ラ・カーサ」がオープンしたばかりで、早くも周辺は激戦区になる見通しになっている。
靴、書籍、100円ショップ
靴では東北6県で山形にだけ店舗がなかったABCマート(東京・渋谷)が出店する。馬見ケ崎にはチヨダ(東京・杉並)の「シュープラザ」、ワンゾーン(東京・千代田)の「フットパーク」、イオン子会社のニューステップ(東京・中央)、地元の千足屋などがシェアを争っているが、ABCマートが新たに参戦することになる。書籍では2005年に三川町の大型ショッピングセンター内に出店して東北初進出を果たした高崎戸田書店(群馬県高崎市)が県内2号店を出す。店舗面積は1192平方メートルで、馬見ケ崎に「北店」を構える地元の八文字屋は対抗策を迫られそうだ。
100円ショップでは「ザ・ダイソー」を展開する最大手の大創産業(東広島市)が出店、馬見ケ崎のセリア(岐阜県大垣市)の牙城を崩そうとしている。