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内科あれこれ/逆流性食道炎

2020年6月12日
 「逆流性食道炎」とは、胃酸が食道に逆流することによって胸やけやゲップ、嚥下障害、胃の痛みなどの症状が現れる病気のことです。

ピロリ菌除菌が原因?

 かつて胃の病気といえば胃潰瘍や胃がんが代表的でしたが、ここ数年は逆流性食道炎が増えています。その理由として、胃粘膜に棲みつく細菌であるピロリ菌の除菌が普及してきたことや、そもそもピロリ菌に感染していない世代が増えていることが挙げられます。
 胃粘膜にダメージを与え、胃潰瘍や胃がんの原因だったピロリ菌が除菌されると、胃粘膜の働きが活性化し、それまで出にくかった胃酸が出やすくなります。胃液が食道まで逆流することが逆流性食道炎の原因のひとつとされています。

内科あれこれ/逆流性食道炎

食道がんに発展も

 逆流性食道炎が慢性化すると、食道の粘膜が胃の粘膜に変性し「バレット食道」という状態になります。バレット食道は胃と食道の境目から徐々に口側に広がっていき、一定の割合でそこに食道がんが発生することが知られています。
 ここ数年、この食道がんは欧米の白人の間で急速に増加しており、日本でも徐々に増えてきているそうです。

治療薬はPPI

 逆流性食道炎の治療で使われるのが胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。症状から逆流性食道炎と診断されれば約8週間、PPIを投与します。
 PPIの長期間の投与に対しては安全性が懸念された時期もありましたが、問題となる副作用はほとんどないことに加え、症状が再発することもしばしばあり、最近は安易な中断はむしろ禁忌とされています。 

胃カメラ検査も

 逆流性食道炎は自覚症状以外、バリウムではなかなか変化が出ない病気ですので、同時に胃や十二指腸も検査できる胃カメラ検査を受けてみられてはいかがでしょうか。


内科あれこれ/逆流性食道炎
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。