徹底して山形に密着したフリーペーパー

吉田ミシン商会(山形市) 吉田美智子さん

2020年5月8日
吉田美智子(よしだ・みちこ) 1953年(昭和28年)栃木県塩谷町生まれ。地元の専門学校を卒業後、美容室勤務などを経てミシン製造のシンガー日鋼(宇都宮市、2000年に解散)へ。生産ラインで働いている時に、同社に研修に来ていた吉田ミシン商会創業者の長男・正人氏と知り合い結婚、84年に山形へ。現在は義父母、正人氏、自身の4人で家業を切り盛りしている。66歳。
吉田ミシン商会(山形市) 吉田美智子さん

コロナで空前のミシンブーム
  普段は地味な家族商売です

――ミシンが売れまくってるそうで。

4月は空前の売れ行き

 「新型インフルエンザの感染拡大で市販のマスクが不足し、それなら自分で作ろうとミシンを買い求める人が全国的に増えているそうです」
 「山形でも同じ。いつもなら入学式前の3月下旬までに販売は落ち着くのに、今年は4月に入ってお客さんが殺到し、例年の2倍以上に」
 「新しく買う人や、家で眠ってた古いミシンを引っ張り出して使う人もいて修理の依頼もひっきりなし。うちは家族4人でやってるから、それこそご飯を食べる暇もないほどてんやわんや」
――つい最近、地元のテレビにも登場されて。
 「周囲からは『ついにテレビデビューを!』なんてからかわれて(苦笑)。とにかく、こんなに忙しかったのって初めての経験でしたから」

今は売るものがない

――今はひと段落?
 「売る物がなくなっちゃいましたからね。部品を中国など海外から調達しているので、国内メーカーの生産はストップしている状態。5月には再開できるらしいけど、どうなることやら」
 「ホントに台風が過ぎ去った後みたい。ただ修理の依頼は相変わらずひきもきらずです」

まちのミシン屋さん

――ミシン専業のお店なんですよね。
 「そう。県内にはうちと、庄内にもう1社かな。業界的には特約店といいます。かつては各メーカーが直営店を持ってたけど、どんどん撤退していき、今は特約店が各メーカーのミシンを扱い、修理などアフターケアもやってます」
 「ミシンは特約店以外のところや、ネットでも安く売ってるけど、アフターケアが十分じゃないでしょ。うちは依頼があれば山形市周辺はもちろん、置賜や最上まで出向いて修理してる」
――ふ~ん。
 「学校向けだってあるのよ。ミシンは小学5年から必修になるから、だいたい1校に20~30台のミシンが常備されてる。それの新旧の入れ替えや修理なんかをうちが」
――ミシンって使いこなすのが大変そうな…。
 「使い方のコツや縫い方なんかも教えてますよ。それで喜んでいただけるのが嬉しいですね」
 「商売に派手さはなくて、たいして儲かりもしないけど、ミシンを使う人にとってはなくては困る存在だと思う。手縫い文化、ミシン文化を後世に残そうと続けてます」

令和の時代に入っても

――この先は?
 「今はよそで働いている2人の息子が後を継ぐと言ってくれてます。彼らにとっては、いいのか悪いのか(笑)」