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医学のうんちく/男性ホルモンの低下

2020年4月24日
 男性ホルモンの低下はメタボリック症候群や糖尿病の危険因子で、疫学的調査では死亡率の上昇も指摘されています。

心血管疾患が増加

 スウェーデンの研究班が2011年に69~81歳の高齢男性2416人を対象に調査した結果、男性ホルモン値の最も高い群は心血管疾患の発生が30%低下していました。
 米国内分泌学会が13年に実施した調査でも、男性ホルモンの低下と心血管疾患の発生の関連性が示唆されています。

医学のうんちく/男性ホルモンの低下

スポーツ大会で健康障害

 よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック(神奈川県横須賀市)の奥井伸雄院長は17年、スポーツの大会で健康障害を起こした群と、健康障害を起こさなかった群の男性ホルモン(テストステロン)値などを調査しました。
 それによれば、前者の運動量は後者の運動量に比べ明らかに多く、前者の男性ホルモン値は後者に比べ明らかに低下していました。

心停止のリスクも

 こうした知見から、同氏は日常的な過剰運動は心臓に負荷をかけ、結果として男性ホルモンを低下させて健康障害を引き起こすという新たな概念「運動ストレス性低テストステロン症」を提唱、日本性機能学会に報告しています。
 スポーツ大会での心停止のハイリスク症例を事前に予測する指標として男性ホルモン補充療法の有用性が期待されます。

補充療法の明と暗

 男性ホルモン補充療法は男性更年期障害、勃起不全(ED)に対して有効です。短期間ならウエスト周囲径、コレステロールおよび炎症性サイトカインを下げ、糖尿病患者のインスリン抵抗性や血糖調整を改善することもあります。
 ただ心血管系に対する効果は確定されておらず、赤血球増加作用や血液凝固作用があるため血栓を形成する可能性もあり、安易な使用は控える必要があるでしょう。


医学のうんちく/男性ホルモンの低下
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。