徹底して山形に密着したフリーペーパー

山大医学部附属病院 検査・感染制御部 部長 森兼 啓太さん

2020年4月10日
森兼 啓太(もりかね・けいた) 1965年(昭和40年)神戸市生まれ。灘高から東大医学部に進み、卒業後、同付属病院や関連病院で外科医として勤務。2003年に国立感染症研究所に移り感染管理の専門に転じ、米疾病制御予防センター客員研究員などを経て09年に山大医学部付属病院検査・感染制御部副部長、10年から同部部長。09年に新型インフルエンザが世界的に流行した際は当時の舛添要一厚労大臣の私的アドバイザーとして対策行動計画の策定にも携わった。日本環境感染学会評議員、日本外科感染症学会理事も務める。55歳。
山大医学部附属病院 検査・感染制御部 部長 森兼 啓太さん

新型コロナウイルスは新たな敵
  流行速度をどう遅らせるかが鍵

――新型コロナウイルスの感染者が県内でも増加していますが。

過度に不安がらずに

 「最初の感染者が3月31日に米沢市で報告され、現在(4月7日時点)までに19人ですか…。一般的には『県内でも感染が一気に広がった』と受け止められがちですが、全員検査していない以上、そもそも3月31日まで本当に感染者がゼロだったのかどうか」
 「感染しても重症化せず、普通に日常生活を送る中で自然に治癒していたという人もいたかもしれない。私はその可能性が高いと考えていますので、なにか事態が急変したような受け止め方には違和感があります」
――過度に不安を募らせる必要はないと。

「3密」を避ける

 「そうは言っても、インフルエンザなどと違い、検査体制も確立されていないし、予防するためのワクチンも、治療のための特効薬も見つかっていない。人類共通の新たな〝敵〟に対し、流行の速度を遅くする努力は求められます」
 「まずは感染リスクの高い3密(密閉、密集、密接)を満たす場所に出入りするのを避けるなど、クラスター(感染者集団)の要因になる行動を控えること。あとは外出した際の手洗いとうがいの励行ですね」
――今後の見通しは?

感染者は確実に増加

 「全国的に見て感染者は確実に増えていくはず。これは間違いない。ただその速度がイタリアやスペイン、ニューヨークのように急激だと社会の混乱は避けられず、医療現場の崩壊も危惧されます。その意味で、特措法に基づく緊急事態の発令も含め、政府がとっている対策はおおむね評価してもいいでしょう」
 「個人的には日本は公衆衛生への意識が高く、感染症の病床も諸外国よりは充実している。イタリアにみられる医療崩壊のような状況にはなりにくいと思います」
――山形では?
 「都市圏に比べれば感染の広がりは限定されるはず。いい意味で山形は〝閉鎖社会〟で、他県や外国との人の行き来が限られているように思います。車社会で、通勤時に満員電車に揺られることも少ないですし」

帰京もままならず

 「感染者ゼロ県選手権、準優勝を前に無念の敗退でしたが、2009年の新型インフルエンザ流行時は最後まで感染者が出ず、優勝していますから(笑)」
――ご家族を東京に残して単身赴任だとか。
 「以前は毎週のように帰京していましたが、立場上、さすがに今は…。病院と自宅アパートの行き来だけで、3食コンビニ弁当です(苦笑)」