徹底して山形に密着したフリーペーパー

医学のうんちく/選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)

2020年4月10日
 選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)は、骨や筋肉には有益な男性ホルモンの働きを持つ一方、男性ホルモンの弊害である前立腺への影響は排除した薬剤です。
 将来的には骨粗しょう症や加齢性筋減少症などの治療薬として期待されていますが、近年はボディビル用サプリメントとしてネット上で出回っています。

ネット購入は危険

 ところが2017年、米ハーバード大の研究チームが通販サイトで購入した44種類のSARMサプリを調査したところ、SARMを含んでいたのは52%で、39%には違法な成長ホルモンやステロイドなどの未承認薬物が含まれていました。
 また9%には有効成分が全く含まれておらず、59%は表示された内容と実際の分量が一致しませんでした。

医学のうんちく/選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)

ドーピング検査でNG

 SARMは世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物リストに含まれているため、スポーツ選手は使用することができません。しかし筋骨隆々な見た目や運動パフォーマンスの向上を求めて、米国で400万人近い若者が少なくとも一度は使用経験があると指摘されています。
 実際、ノルウェーのベルゲン大の研究チームが14年にステロイド剤の使用に関する271の研究を分析した結果、世界の約6.4%の男性が一度はステロイド剤を試していることが分かりました。

死亡リスクを高める?

 米国食品医薬局(FDA)は17年10月、SARMを含む製品を摂取した人々の中に薬剤性肝障害などの命に関わる副作用が発症した事例や、心臓発作や脳卒中などのリスクを高める可能性があり、長期的な身体への影響も明らかになっていないとの声明を出しています。
 マッチョなボディを得るには安易にサプリメントに頼らず、地道な努力が必要なようです。


医学のうんちく/選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。