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《セピア色の風景帖》 第139回 栗子クアドームDUO

2020年3月27日
 福島との県境に近い米沢市板谷に「栗子国際スキー場」がある。開業は1967年で、ピークの91年には23万人の利用客を集め、運営する板谷観光開発は勢いを駆って93年には施設内に温水プール「栗子クアドームDUO」も併設した。
《セピア色の風景帖》 第139回 栗子クアドームDUO

 名だたる豪雪地の栗子峠にあって、外はスキー場、中では温水プールと、冬と夏の両方が楽しめる「DUO(2つのもの)」という名称は理想を表したものだったのだろう。
 実際、DUO内はすこぶる快適で、外がいかに荒れ狂った天候であろうとも別世界だった。

 だが板谷観光開発は2003年に経営破綻、スキー場は従業員らに引き継がれて現在に至っているが、いいとこどりを狙ったDUOはどっちつかずの立ち位置となり、翌04年にさして古くもないうちにそのすべてを解体される憂き目に遭ったのだった。

《セピア色の風景帖》 第139回 栗子クアドームDUO

 1960年代に“一瞬の夏”のように現れて消えた「山形ハワイドリームランド」同様、山形に常夏の水辺を再現する試みはまたも泡と消えた。(F)
《セピア色の風景帖》 第139回 栗子クアドームDUO