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医学のうんちく/持続性性喚起症候群

2020年3月13日
 性行為を望んでいないにも関わらず、突如として強烈な性的興奮が引き起こされる病気が「持続性性喚起症候群(じぞくせいせいかんきしょうこうぐん)」で、2001年に米国で初めて報告されました。

突如現れる性的興奮

 米ハーバード大学の研究チームは今年、同症候群を発症したことのある女性10人を対象に科学的な分析を試みました。
 まず発症には2つのパターンがあり、80%の人は身体的・精神的な刺激がないにも関わらず多い人で1日に30回もの性的興奮を生じていました。
 性的興奮の時間は多くは数分から数時間ですが、40%の人は頻度は少ないものの性的興奮の時間が数時間以上に及んでいました。また20%の人で両方のパターンが認められました。
 ほぼ全員が興奮を鎮めるために自慰行為を試み、20%で一時的に症状が軽減されましたが、時間の経過とともに効果的ではなくなりました。

医学のうんちく/持続性性喚起症候群

仙骨神経障害と類似?

 大半の人に仙骨神経障害(せんこつしんけいしょうがい)と一致する症状がみられ、70%に頻尿、尿漏れなどの泌尿器症状、60%に会陰部痛、臀部痛が認められました。
 仙骨神経根嚢胞(のうほう)が4人(3人は多発性嚢胞)、感覚性多発神経障害は2人に認められたほか、二分脊椎(せきつい)と腰部椎間板ヘルニアはそれぞれ1人でした。

神経系治療が有効か

 精神医学的治療や婦人科的治療では症状は改善せず、神経ブロック療法によっても持続的な効果は認められませんでしたが、神経根嚢胞切除術や神経損傷の治療で5人中4人が改善を認め、2人は治癒しました。

深刻な病気です

 持続性性喚起症候群は性的興奮を制御する下部脊髄、神経根、神経の障害によって引き起こされていることが分かります。症状だけをみると奇病のようですが、極めて深刻な病気です。


医学のうんちく/持続性性喚起症候群
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。