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医学のうんちく/精子の老化

2020年2月14日
 以前に紹介したように、男性の精子数は加齢とともに減少し、劣化します。

出生児に様々な影響が

 米スタンフォード大学の研究チームは2018年、約4000万人の出生児を対象に、父親の年齢を25歳未満から55歳以上の5つに分類して様々な比較を行いました。
 25~34歳の父親の子どもをベースにすると、早産リスクは45~54歳の父親の子どもで14%、55歳以上の父親の子どもで25%高くなりました。
 低体重リスクも45~54歳の父親の子どもで14%、55歳以上で27%増加しました。新生児集中治療室への入室リスクも45~54歳の父親の子どもで18%、55歳以上で30%高くなりました。

医学のうんちく/精子の老化

母体にもリスク

 さらに45歳以上になると、子どもばかりでなく母体にも悪影響を及ぼすことがわかりました。母親の妊娠糖尿病リスクは45~54歳の父親で28%、55歳以上で34%高くなりました。

DNAが損傷

 ポーランドのポメラニアン大学の研究チームが19年、40歳以上と40歳未満の男性約1100人の精液検査を行い、精子核のDNA損傷を示す「DNA断片化」を調べたところ、DNA断片化率は40歳未満で10.8%、40歳以上で18.5%と明らかに増加していました。

成人後の疾患も増加

 前述のスタンフォード大学の研究チームは19年、1972年と2015年の出生児を比較し、父親の高齢化により若年者における急性リンパ性白血病、胎児性がん、乳がんが後者でそれぞれ9.2%、13.2%、13.0%増加することを報告しています。統合失調症、自閉症、双極性障害などの精神疾患の増加も報告しています。
 先進諸国では晩婚傾向が顕著で、これらの報告は出生児に与える影響に警鐘を鳴らしているといえそうです。


医学のうんちく/精子の老化
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。