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医学のうんちく/出生性比

2020年1月24日
 性比とは生物集団の中のオスとメスの比率のことで、受精時性比(1次性比)と出生性比(2次性比)があります。

オスは減る傾向に

 性比は一般にメスを1とした時のオスの割合で表わします。人間の場合、1次性比は1.10~1.70ですが、妊娠期間中に男児の数が減少し、出生性比は受精時性比と受精卵の生き残りで決まります。
 厚生労働省の報告によると、日本における出生性比は、1968~80年は1.06~1.07でしたが、81年以降は1.05~1.06と低下傾向でした。

医学のうんちく/出生性比

化学物質やストレスで

 1996年に米国で出版された「奪われし未来」は、化学物質が生体のホルモン作用をかく乱し、男性の生殖機能を阻害する可能性を指摘しました。父親への曝露(ばくろ)による出生性比の低下にも触れています。
 様々なストレスも出生性比につながるとされ、山梨大学の研究チームは2016年、妊娠初期に東日本大震災を体験した女性の出生性比の減少を報告しています。

殺虫剤の使用でも

 兵庫医科大学の研究チームは昨年、母親が妊娠する前に父親が就業中に曝露した様々な物質およびその頻度と出生性比との関連性を約5万人の小児を対象に調査しました。
 それによれば、就業中に殺虫剤を使用しない父親のパートナーから生まれた小児における性比が1.05なのに対し、就業中に殺虫剤を月1~3回使用する父親は1.03、週1回以上使用する父親は0.80と、殺虫剤の使用頻度の増加に伴い、出生性比が明らかに減少しました。

待たれる今後の研究

 医療用消毒薬や全身麻酔薬の曝露でも出生性比が減少する傾向がありました。
 ただ、これら薬剤の種類や成分の評価はなく、今後の研究が待たれるところです。


医学のうんちく/出生性比
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。