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医学のうんちく/梅毒

2020年1月10日
 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という病原菌によって生じる性感染症です。症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることからこの病名が付けられました。

ペニシリンで一時急減

 アメリカ大陸に到達したコロンブスが率いる探検隊員が原住民女性と交わって感染し、ヨーロッパに持ち帰って世界に蔓延したとされます。 
 日本では江戸時代に大流行し、大正時代には男性の10人に1人が感染者だったとの報告があります。ただ1940年代に治療薬であるペニシリンが開発されて以降は激減し、2012年までの患者報告数は1000人未満でした。

医学のうんちく/梅毒

2013年から増加

 それが13年ごろから増加に転じ、18年は6923人、19年11月末には6079人と、2年連続で6000人を超えるようになりました。
 男性患者の約70%が30歳以上なのに対し、女性患者の約60%は29歳以下。また男性間の感染が減少し、異性間の感染が増加していることにも留意が必要です。

患者は都市部に多く

 患者数は東京や大阪など大都市で多く報告されています。人口100万人当たりでは東京29、岡山26、大阪25・9の順に多く、東北では福島だけが12.5と2ケタです。
 原因は梅毒が過去のものと認識されたため医師、患者ともに意識が低下していることが考えられます。近年の外国人観光客が増加していることも否定できません。

予防にはコンドームを

 梅毒は早期の薬物治療で完治が可能ですが、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると心臓、血管、骨、神経系に重大な合併症を起こすことがあります。妊婦が感染すると胎児にも感染し、死産、早産などが起こることがあります。
 感染の予防にはコンドームの使用が有用ですが、感染の可能性があるパートナーの治療も重要です。


医学のうんちく/梅毒
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。