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内科あれこれ/耐性菌の話

2019年12月27日
 今月上旬、抗生物質(抗菌薬)が効かない「薬剤耐性菌」の増殖によって国内で年間8000人以上が死亡しているというショッキングなニュースが流れました。

抗菌薬を使い続けると

 耐性菌と聞くと、なにやら外部から持ち込まれるというイメージですが、多くは人間が持っている常在菌に含まれているのです。
 多くの人を死に至らしめる耐性菌がなぜ増殖するかというと、常在菌を除去しようと抗菌薬を使い続けると、大半の常在菌は死滅しますが、その中に抗菌薬に対して耐性を示す菌(耐性菌)が出現するからです。

内科あれこれ/耐性菌の話

いたちごっこ

 そもそも抗菌薬の始まりはイギリスの医師フレミングが1928年に発見したペニシリンですが、当時から抗菌薬は使えば使うほど抵抗力が強い菌が生き残るというジレンマが指摘されていました。
 人間はペニシリンより強力な合成ペニシリン、さらにセフェム系抗菌薬を開発しますが、細菌もそれらを分解する酵素を作り出すという“いたちごっこ”が演じられています。
 人間は抗菌薬の「最後の砦」とされるカルバペネム系を投入しますが、これに対しても耐性を持つ菌が出現!さながらSF映画のようですね。

減らすためには

 人間に希望が持てるのは、耐性菌は同じ種類の耐性を持たない菌より繁殖力が弱いため、抗生剤を使わないでいると減る傾向にあること。抗生剤の使用をなるべく控えることが重要です。

待たれる新たな抗菌薬

 ただ抗菌薬の研究開発が停滞しているのも事実です。ペニシリン由来の抗生剤にはそろそろ限界がきており、それ以外の抗生剤も含め全く別系統の薬剤が必要だと指摘する声もあります。


内科あれこれ/耐性菌の話
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。