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医学のうんちく/ゲノム編集

2019年12月27日
 「ゲノム編集」という言葉を耳にされたことはありませんか?

遺伝子を変える技術

 ゲノムは遺伝情報のことで、ゲノム編集とは遺伝情報を特定の情報に書き換える技術のことです。狙った箇所の遺伝子を壊したり、置き換えたりする技術です。
 ゲノム編集は2012年、従来の技術より簡便で効率性に優れる「クリスパー・キャス9」と呼ばれる最新技術が発表されたことで急速に普及が進み、病気のモデルになる実験用動物の作成、難病の治療や予防法の発見、農作物や家畜の品種改良など幅広い分野で用いられるようになりました。

医学のうんちく/ゲノム編集

人間へは是か非か

 昨年11月末には、中国・南方科技大学の賀建奎准教授が世界で初めてゲノム編集を人間の受精卵に用いて双生児を誕生させたことが明らかになり、世界を驚かせました。
 ゲノム編集を用いて誕生した子どもの安全性は未知数で、予期せぬ障害が現れる恐れは否定できません。また改変された遺伝子は次世代へ引き継がれていきます。
 人工的に親が望む外見や体力、知力を持たせた「デザイナーベビー」につながっていく可能性もあります。

WTOは中止呼びかけ

 こうしたことから世界保健機関(WHO)は今年8月末、各国政府に対し、今後は同種の試みはいかなるものも中止するよう求める声明を出しています。
 日本でも同種の試みに対しては罰則付きを含め法律で規制すべきとの意見が盛り上がりましたが、来年の通常国会への法案提出は先送りされる見通しです。

評価定着には時間

 1978年、英国で世界初の体外受精児(いわゆる試験管ベビー)が誕生した時も賛否が分かれましたが、体外受精は現在では不妊症の標準的な治療法です。
 ゲノム編集ベビーの評価が確定するまでには時間が必要なようです。


医学のうんちく/ゲノム編集
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。