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医学のうんちく/血精液症

2019年12月13日
 ある日、精液に真っ赤な血液が混ざっていたことに気づき、衝撃を受けた男性がいるかもしれません。これは「血精液症」と呼ばれる症状です。
 結論から言えば、大半の血精液症は性機能への影響や、がん等の深刻な病気の兆候ではありません。とはいえ、様々な面から男性を不安にさせるには十分な症状で、驚いて泌尿器科に来られる方もいらっしゃいます。

多くは原因が分からず

 精液は精巣から精巣上体・精管を経て移動した精子と、精嚢や前立腺の分泌物で構成されています。精液の大部分は精嚢や前立腺の分泌物のため、精嚢または前立腺のいずれかに問題があれば血液の混入が起きる可能性があります。
 出血の原因としては炎症、うっ血などが考えられますが、多くは原因が分からない「特発性血精液症」とされます。過剰な自慰行為や性行為、長期間の禁欲が原因という説もありますが…。

医学のうんちく/血精液症

地道な研究結果では

 深刻な疾患とみなされないために未解明な部分も多かった血精液症ですが、地道な研究者も。それが古屋泌尿器科医院(北海道北見市)の古屋聖児院長です。
 同院長が267例の血精液症の原因を検索したところ、189例(71%)に尿路・精路系の異常病変が検出されました。精嚢出血は117例(43.8%)、前立腺正中線嚢胞は66例(24.7%)、精嚢拡張は49例(18.3%)でした。

大半は自然治癒

 血精液症は30~40歳代に多く見られますが、1カ月以内に約40%、6カ月以内に70~80%が自然治癒します。通常は原因疾患への対症療法で十分対応できます。

検査が必要な場合も

 ただ、精嚢出血、前立腺正中線嚢胞、および50歳以上では長期化する傾向があります。
 50歳以上の症例では悪性疾患が発見されることもあるため、念のため精査をお勧めします。


医学のうんちく/血精液症
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。