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医学のうんちく/絶頂感

2019年11月22日
 男性の場合、性行為中の絶頂感には射精を起こすという生殖行動における明確な役割がありますが、女性の場合は絶頂感に達するということにどんな役割があるのでしょうか。

他の哺乳類との違い

 多くの哺乳類のメスは発情期になるとオスと交尾し、絶頂に達すると排卵が促されて受精に至ります。つまり交尾における絶頂は生殖行動に不可欠なものなのです。
 哺乳類のメスの体は膣の中に陰核(クリトリス)があり、オスの陰茎の挿入によって絶頂に達しやすい構造になっています。

医学のうんちく/絶頂感

有史以来の謎

 一方、人間の女性は周期的に排卵が訪れ、その時期の性行為で受精するため、生殖行動に絶頂感は必要ありません。陰核も膣から離れた場所にあり、陰茎の挿入だけでは絶頂に達することが難しくなっています。
 これらのことから、生殖行動に必要がないと思われる性行為における女性の絶頂感の役割については有史以来の謎とされてきました。

イェール大が新説

 新説を唱えたのは米イェール大学です。同大の研究チームは2016年、交尾中の哺乳類のメスは「プロラクチン」と「オキシトシン」というホルモンが急上昇して絶頂に達し、人間の女性でもこれらのホルモンが絶頂感に伴って分泌されることを報告したのです。
 研究チームは「女性の絶頂感は生殖行動に必要な哺乳類のメスの絶頂感と起源は同じ」と結論付けています。

進化の遺物か

 女性の絶頂感は生殖行動が起源でしたが、周期的な排卵に進化したことにより排卵のための絶頂は不要となり、陰核の位置も移動したのではないかと考えられます。
 性行為中の陰核の刺激により絶頂に達するようになったのは、男女間の絆を深めるためなのかもしれません。


医学のうんちく/絶頂感
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。