あなたの目 健康ですか?/(139)大人の近視
2019年11月8日
近視というと子どもが学校の眼科健診で指摘されるイメージですが、昨今はパソコンやスマートフォンなどの普及により、大人になってから近視になったり、近視が進行したりするケースが増えています。
この大人の近視こそ注意が必要です。
この大人の近視こそ注意が必要です。
高い合併症リスク
といいますのも、大人の近視は恐ろしい病気との合併症リスクが高まるからです。一般的に近視になると眼球が奥に伸びるため、網膜など目の組織にかかる負荷が大きくなります。
このため緑内障との合併症リスクは3.3倍、網膜剥離(もうまくはくり)とは21.5倍、近視性黄斑症(きんしせいおうはんしょう)とは40.6倍になると報告されています。

失明の原因にも
これまでに何度も取り上げましたが、日本での失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症です。そして合併症リスクが高い強度近視が3~4位。大人になってからの近視は進行を止めることが何より大切です。
進行を止めることが大切
近視の進行には遺伝的素因と環境的因子が関係しています。遺伝的素因は変えることができないので環境的因子に注意するしかありません。
環境的因子で最も注意が必要なのは対象物を見る時の距離。距離が30センチより近い場合は近くない場合に比べ2.5倍近視が進みやすいことが分かっています。
疑わしい症状があれば
ことほど左様に恐ろしい大人になってからの近視。近視の進行に注意を払うのはもちろん、物がゆがんで見える、階段で転びそうになる、歩いていて人や物にぶつかりそうになるといった近視による合併症が疑われる症状を感じた時は、早めにお近くの眼科医を受診するよう心がけましょう。


院長
高橋 義徳
●(たかはし よしのり)1990年(平成2年)山形大学医学部卒業後、同大学眼科講師、ウプサラ大学留学を経て2007年10月に金井たかはし眼科を開院。日本眼科学会専門医。山形県眼科医会理事。
高橋 義徳
●(たかはし よしのり)1990年(平成2年)山形大学医学部卒業後、同大学眼科講師、ウプサラ大学留学を経て2007年10月に金井たかはし眼科を開院。日本眼科学会専門医。山形県眼科医会理事。