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医学のうんちく/女性と男性ホルモン

2019年11月8日
 男性ホルモンの代表格で、“性欲の燃料”とも呼ばれる「テストステロン」に関してはこれまでに何度か紹介してきましたが、テストステロンは男性だけでなく女性の体内でも産生されます。

性欲を支配

 テストステロンは男性では精巣と副腎で産生されますが、女性では副腎と卵巣で産生されます。ただ女性の産生量は男性の約10分の1。男性と同様、産生量のピークは20歳前半で、その後は徐々に減少していきます。
 女性の場合、閉経に向かって「エストロゲン」に代表される女性ホルモンが減少し、相対的にテストステロンの割合が高くなります。そのため更年期が近づいてからの方が性欲が顕著になると言われています。

医学のうんちく/女性と男性ホルモン

閉経後にも効果

 オーストラリアのモナシュ大学の研究チームは今年、閉経後の8480人の女性を対象にした46件のテストステロン治療(投与)の研究報告を解析しています。
 それによれば、治療により性欲、性的興奮、オルガズム、敏感性などが向上し、性的悩みや苦痛を減少させることが明らかになりました。
 副作用としてニキビや発毛増加がありましたが、心筋梗塞や脳梗塞などが増えることはありませんでした。 

運動能力も向上

 スウェーデンのカロリンスカ研究所のチームが今年、18~35歳の女性48人にテストステロン投与を続けて運動能力や筋肉量を調べたところ、有酸素運動能力の向上、全身および下肢の除脂肪筋肉量が増加していました。無酸素運動能力、スクワットジャンプの高さ、膝関節伸展力、体重の変化はありませんでした。

待たれるガイドライン

 これら女性へのテストステロン治療・投与は短期のものがほとんどで、副作用の恐れがあるため長期のものは限られています。治療に関する新しいガイドラインと新薬が待たれるところです。


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山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。