徹底して山形に密着したフリーペーパー

医学のうんちく/男女産み分け

2019年10月25日
 古来、男女の産み分けは様々な方法が試行されてきました。

X精子とY精子

 そもそも1回の射精で放出される精子の数は数億個。そのうち半数が女の子になるX精子、残り半数が男の子になるY精子です。どちらが先に卵子に到達するかどうかで性別が決まります。
 X精子は寿命が2~3日、酸性の環境に強く、動きが遅いという特性があります。これに対してY精子は寿命が1日、アルカリ性の環境に強く、動きが速いという違いがあります。
 この違いを利用した男女の産み分け方法がいくつか考えられています。

医学のうんちく/男女産み分け

様々な試行の歴史

 膣内の環境を酸性やアルカリ性に調整するゼリーがありますが、確実な方法ではありません。
 体外受精後の受精卵の細胞を採取して染色体を調べ、性別を確認して希望する性の受精卵だけを子宮に戻すのが最も確実な産み分け方法ですが、現在の日本では禁止されています。

広島大、新技術に成功

 酪農などの場合、雄と雌との産み分けは極めて重要です。乳を搾る雌が生まれない限り酪農業は成り立ちません。この分野で広島大学の研究チームは今年、哺乳類で雄と雌を産み分ける技術に成功しました。
 研究チームはX精子だけに存在する特殊な受容体を発見しました。マウスの精子を試験管に入れて受容体を刺激する薬剤を加えたところ、X精子の動きが止まって下層に沈殿し、影響を受けないY精子が上層に集まりました。
 上層と下層からそれぞれ採取した精子を体外受精させると、上層の約80%から雄が、下層の約80%から雌が生まれたのです。豚でも約70%、牛でも約90%の確率で産み分けに成功しました。

人間への応用は?

 人間への応用も可能とみられますが、倫理上の問題を解決する必要はありそうです。


医学のうんちく/男女産み分け
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。