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<荒井幸博のシネマつれづれ>蜜蜂と遠雷

2019年9月27日
技競う4人のピアニスト

 第156回直木賞と第14回本屋大賞を史上初めてダブル受賞し、累計発行部数134万部を超えるベストセラーとなった恩田陸の同名小説を石川慶監督が実写映画化した作品。

<荒井幸博のシネマつれづれ>蜜蜂と遠雷

 ピアノの天才たちが集う国際ピアノコンクール予選会に若い4人のピアニストがあらわれる。
 かつて国内外のジュニアコンクールを制覇して天才少女として名を馳せていたが、最大の理解者だった母の死のショックから立ち直れないまま表舞台から遠ざかっていた栄伝亜夜(松岡茉優)。20歳になり、再起をかけてコンクールにのぞむ。
 音大出身で現在は岩手の楽器店に勤務する妻子持ちのサラリーマン、高島明石(松坂桃李)。年齢制限ギリギリの28歳で最後の挑戦に臨む。
 完璧な演奏技術と感性を持ち、名門ジュリアード音楽院で腕を磨いてきた優勝候補のマサル・C・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。そして世界最高峰ピアニストからの推薦状を携えて突如あらわれ、奔放な演奏で他を圧倒する16才の風間塵(鈴鹿央士)。 
 2週間に及ぶコンクールの熾烈な戦いを通してライバルたちと刺激し合う中で、亜夜はかつての自分の音楽と真剣に向き合うことになる。母の死の呪縛から解き放たれ、ひのき舞台で力を発揮できるのだろうか?音楽の神に愛されて最後に勝つのは誰なのか――。

 寡黙なヒロイン・亜夜を演じる松岡は表情で心の“あや”を表現。高島役の松坂は狂気を帯びた役が多いが、普通を演らせたら若手では群を抜いていることを再認識させられる。
 マサル役の森崎はさわやかで真っ直ぐな好青年がピッタリ!塵役の鈴鹿は無邪気な奔放さで、この役のために天から舞い降りたような新人だ。
 他に斉藤由貴、平田満、鹿賀丈史、眞島秀和、臼田あさ美、光石研、ブルゾンちえみらが脇を固めている。

 ストーリー展開はもちろん、クラシック音楽の演奏シーンも圧巻の迫力。観ているこちらが引き込まれて身体を揺らしっ放しになる。


<荒井幸博のシネマつれづれ>蜜蜂と遠雷
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(木曜12時)を担当。