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<荒井幸博のシネマつれづれ>ロケットマン

2019年8月23日
孤高の天才を描くミュージカル

 前号の「ダンスウィズミー」に続き、今号もミュージカル映画をご紹介。グラミー賞を5度も受賞したイギリス出身の世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの人生を映画化した「ロケットマン」。

<荒井幸博のシネマつれづれ>ロケットマン

 英国郊外のピナーで両親の愛を受けずに育った少年レジナルド・ドワイトは、唯一、音楽の才能には恵まれていた。やがてミュージシャンを目指すことを決意したレジーは、エルトン・ジョンと改名して音楽活動を始める。生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの運命的な出会いを契機に成功への道を駆け上がっていくのだが……。

 大ヒット作「ボヘミアン・ラプソディ」を完成させたデクスター・フレッチャーがメガホンをとり、「キングスマン」シリーズ主演のタロン・エガートンがエルトンを演じ、吹き替えなしで見事な歌声を披露する。
 エルトンとは正反対の堅実な性格の持ち主ながら、音楽面では最高の相性で作詞家として50年に亘る友情で結ばれるトーピンを「リトル・ダンサー」の名子役ジェイミー・ベル、エルトンのマネージャーで恋人のジョン・リードをリチャード・マッデンが好演。エルトン本人も製作総指揮で関わっている。 
 大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」で描かれた英ロックバンド、クイーンのボーカル・フレディ・マーキュリーと同様、エルトンも同性愛者としての悩みを抱き、ドラッグや快楽に走って転落していく様が映し出されるが、2つの映画には根本的な違いがある。
 「ボヘミアン~」ではクイーンの曲がライヴやレコーディング場面、BGMとして使われるが、「ロケットマン」ではエルトンの多くのヒット曲を役者たちが歌い、踊る。ミュージカル映画としてのだいご味がじっくりと楽しめる。
 孤高の天才の愛への渇望、魂の叫び、成功と挫折、復活をエルトン珠玉の名曲の数々で彩ったミュージカル・ファンタジー・エンターテインメントに心身ともにどっぷりと浸かってください。


<荒井幸博のシネマつれづれ>ロケットマン
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(木曜12時)を担当。