ストップ!温暖化 /乗用車もトラックも キーワードは「エコ」
2007年8月10日
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出削減を目指す取り組みが山形で本格化してきた。CO2の排出元としては「事業所」「家庭」「自動車」の3つが挙げられるが、山形は1世帯当たりの自動車台数が福井県に次いで全国2位という土地柄。それだけに、乗用車で、トラックで、いま「エコ」が重要なキーワードになっている。

エコドライブで燃費比較
地球に優しい車社会を実現しようと昨年から「県民エコドライブ推進事業」を展開しているのが日本自動車販売協会連合会山形県支部(支部長・鈴木重行トヨタカローラ山形社長)。7月1日には県民に広くエコドライブを体験してもらうため「県内縦断エコドライブオリエンテーリング」を主催した。
参加したのは131組・500人で、村山、庄内、置賜、最上の各出発地をスタート、折り返し点でエコドライブの講習を受けて行きと帰りの燃費の差を実感してもらった。
アイドリングストップ!
エコドライブは(1)無駄なアイドリングをやめる(2)一般道路なら時速40キロメートル、高速道路なら80キロメートルの経済速度で走る(3)タイヤの空気圧を適正にする(4)急発進・急加速は避ける(5)エアコンの利用を控える——などがポイント。
地球に優しい車社会を実現しようと昨年から「県民エコドライブ推進事業」を展開しているのが日本自動車販売協会連合会山形県支部(支部長・鈴木重行トヨタカローラ山形社長)。7月1日には県民に広くエコドライブを体験してもらうため「県内縦断エコドライブオリエンテーリング」を主催した。
参加したのは131組・500人で、村山、庄内、置賜、最上の各出発地をスタート、折り返し点でエコドライブの講習を受けて行きと帰りの燃費の差を実感してもらった。
アイドリングストップ!
エコドライブは(1)無駄なアイドリングをやめる(2)一般道路なら時速40キロメートル、高速道路なら80キロメートルの経済速度で走る(3)タイヤの空気圧を適正にする(4)急発進・急加速は避ける(5)エアコンの利用を控える——などがポイント。

省エネ効果、予想以上
これらのポイントを実行、山形会場となった山形ビッグウイングに続々と到着した参加者たちはエコドライブの効果に一様に驚きの表情。50歳代の男性は「これほど差があるとは思わなかった。これからは地球にも財布にも優しいエコドライブを実践します」と答えていた。
同支部の集計では全参加者の平均で15・9%の燃費向上を実現したという。
エコカー普及に向けマイスター認定制度
エコドライブとともに脚光を浴びているのがCO2の排出を抑制した低公害車のエコカー。同支部はまた、エコカーの普及を目指して2005年から全国初の「環境マイスター認定制度」を導入している。
現在167人が認定
この制度は消費者に対して環境保全の意味を正しく説明し、地球に優しいエコカーを推奨できる販売員を認定する制度で、現在のマイスターは167人。将来は220人まで増員し、県内のディーラーショールームに最低1人のマイスターを配置する計画だ。
ちなみに山形県のエコカー普及率は宮城県に次ぎ東北では2番目。
これらのポイントを実行、山形会場となった山形ビッグウイングに続々と到着した参加者たちはエコドライブの効果に一様に驚きの表情。50歳代の男性は「これほど差があるとは思わなかった。これからは地球にも財布にも優しいエコドライブを実践します」と答えていた。
同支部の集計では全参加者の平均で15・9%の燃費向上を実現したという。
エコカー普及に向けマイスター認定制度
エコドライブとともに脚光を浴びているのがCO2の排出を抑制した低公害車のエコカー。同支部はまた、エコカーの普及を目指して2005年から全国初の「環境マイスター認定制度」を導入している。
現在167人が認定
この制度は消費者に対して環境保全の意味を正しく説明し、地球に優しいエコカーを推奨できる販売員を認定する制度で、現在のマイスターは167人。将来は220人まで増員し、県内のディーラーショールームに最低1人のマイスターを配置する計画だ。
ちなみに山形県のエコカー普及率は宮城県に次ぎ東北では2番目。

トラック業界BDFに燃料転換
県内のトラック業界が取り組んでいるのは、軽油から廃食用油を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)への燃料転換。BDFは排ガスに含まれる黒鉛や硫黄酸化物、窒素酸化物などの有害物質が少なく、食用油の原料である植物が成長過程で大気中のCO2を吸収しているため、京都議定書でも排出するCO2の量はゼロとみなされる。
「菜の花作戦」スタート
県内420のトラック業者が加盟する山形県トラック協会が今年度からスタートさせるのが「菜の花作戦」。朝日町の休耕田で菜の花を栽培し、収穫した菜の花から菜種油を精製、域内の学校や老人施設などに配布する。ここで出た廃油を回収し、BDFに精製して会員に販売するというプロジェクトだ。
丸市運送 / ティスコ運輸
業者の中には自らBDF装置を導入して積極的に対応する動きも。丸市運送(東根市)は県内食品スーパー最大手のヤマザワの県内58店から出る廃油を一手に回収、自社のBDF装置で精製して15台分のトラック燃料として使用している。
品質管理の「ISO9001」も取得済みで、他社との差別化を目指している。
04年に国土交通省が推奨する「グリーン経営」の認証を県内で初めて受賞するなど環境への取り組みで定評のあるのがティスコ運輸(山形市)。同社も自社の精製装置で得たBDFを燃料とするトラック台数を拡大中で、「環境」を武器に中小企業向けのサプライチェーン・マネジメント(SCM)にも力を入れている。
◇今さら聞けない「京都議定書」◇
1997年12月に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締結国会議」で採択された議定書を指し、CO2など6種類の温室効果ガスについての排出削減義務を定めています。
具体的には90年を基準とし、08−12年の間に日本は6%、欧州連合(EU)は8%を減らさなければなりません。ただ世界最大の排出国である米国や、目標達成が困難なカナダが加わっていないほか、経済成長が続くインドや中国には削減義務がなく、議定書が掲げる「世界全体で5%以上」という削減目標は困難になっているのが実情です。
それでも山形県は国全体の6%を上回る7%の削減目標を掲げた「“もったいない”やまがたECOチャレンジキャンペーン」を今年から展開中。ガンバレ山形!
◇本当はコワ〜イ山形の温暖化◇
温暖化は山形にとっても他人事ではありません。蔵王連峰では冬の風物詩である樹氷のできる標高が年々高まっており、20年後には樹氷ができなくなるというショッキングなレポートが出されているほか、独壇場だったサクランボも温暖化で産地が北に広がり、秋田産などは一部で山形産を上回る品質評価を得るようになっています。
何より山形は県都の山形市で1933年(昭和8年)、日本最高気温40・8度を記録するなど、夏場は“灼熱の地”。このまま温暖化が進めば人間が住めなくなって人口流出が加速する、なんてことにもなりかねません。
県内のトラック業界が取り組んでいるのは、軽油から廃食用油を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)への燃料転換。BDFは排ガスに含まれる黒鉛や硫黄酸化物、窒素酸化物などの有害物質が少なく、食用油の原料である植物が成長過程で大気中のCO2を吸収しているため、京都議定書でも排出するCO2の量はゼロとみなされる。
「菜の花作戦」スタート
県内420のトラック業者が加盟する山形県トラック協会が今年度からスタートさせるのが「菜の花作戦」。朝日町の休耕田で菜の花を栽培し、収穫した菜の花から菜種油を精製、域内の学校や老人施設などに配布する。ここで出た廃油を回収し、BDFに精製して会員に販売するというプロジェクトだ。
丸市運送 / ティスコ運輸
業者の中には自らBDF装置を導入して積極的に対応する動きも。丸市運送(東根市)は県内食品スーパー最大手のヤマザワの県内58店から出る廃油を一手に回収、自社のBDF装置で精製して15台分のトラック燃料として使用している。
品質管理の「ISO9001」も取得済みで、他社との差別化を目指している。
04年に国土交通省が推奨する「グリーン経営」の認証を県内で初めて受賞するなど環境への取り組みで定評のあるのがティスコ運輸(山形市)。同社も自社の精製装置で得たBDFを燃料とするトラック台数を拡大中で、「環境」を武器に中小企業向けのサプライチェーン・マネジメント(SCM)にも力を入れている。
◇今さら聞けない「京都議定書」◇
1997年12月に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締結国会議」で採択された議定書を指し、CO2など6種類の温室効果ガスについての排出削減義務を定めています。
具体的には90年を基準とし、08−12年の間に日本は6%、欧州連合(EU)は8%を減らさなければなりません。ただ世界最大の排出国である米国や、目標達成が困難なカナダが加わっていないほか、経済成長が続くインドや中国には削減義務がなく、議定書が掲げる「世界全体で5%以上」という削減目標は困難になっているのが実情です。
それでも山形県は国全体の6%を上回る7%の削減目標を掲げた「“もったいない”やまがたECOチャレンジキャンペーン」を今年から展開中。ガンバレ山形!
◇本当はコワ〜イ山形の温暖化◇
温暖化は山形にとっても他人事ではありません。蔵王連峰では冬の風物詩である樹氷のできる標高が年々高まっており、20年後には樹氷ができなくなるというショッキングなレポートが出されているほか、独壇場だったサクランボも温暖化で産地が北に広がり、秋田産などは一部で山形産を上回る品質評価を得るようになっています。
何より山形は県都の山形市で1933年(昭和8年)、日本最高気温40・8度を記録するなど、夏場は“灼熱の地”。このまま温暖化が進めば人間が住めなくなって人口流出が加速する、なんてことにもなりかねません。