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医学のうんちく/精子の老化

2019年8月23日
 卵子が老化することは一般に知られていますが、精子も加齢に伴い劣化していきます

加齢に伴い劣化

 イスラエルの研究チームは2008年、1回の射精で放出する精子数は26~30歳で約5.5億個、36~40歳で約2.8億個、51~55歳で約1.5億個と年をとるごとに減少し、動いている精子の割合も26~30歳で約80%、36~40歳で約60%。51~55歳で約50%まで減少することを報告しています。
 また米国の研究チームが13年、精子数と動いている精子数は35歳を境に減少することを報告しているほか、獨協医科大学の研究チームも14年、35歳を過ぎると精子の受精能力が低下することを報告しています。

医学のうんちく/精子の老化

DNAも損傷

 加齢により精子の染色体を構成するDNAの損傷も認められるようになります。DNAの損傷は卵子のDNAとの結合を阻害し、細胞分裂が正常に進みにくくなります。
 このため、45歳以上の男性では、25歳未満の男性と比べ自然流産の確率が約2倍になるとの報告があります。また、生まれた子が統合失調症を抱える割合は、20歳代の男性と比べ45歳以上の男性で約2倍、50歳以上で約3倍、自閉症の発生率も45歳以上で約6倍、50歳以上で約9倍に増加するとされます。
 知能指数も20歳代の男性の子の106.8に対し50歳代の子は100.7と報告されています。これらはいずれも精子のDNA損傷との関連性が示唆されています。

男性にも旬が

 晩婚化は世界的な傾向で、日本でも平均結婚年齢は1995年に男性28.5歳、女性26.5歳だったのが、2016年には男性31.1歳、女性29.4歳と上がっています。
 このこと自体、社会情勢の変化や価値観の多様化などが背景にあるとみられ、いちがいに論評はできませんが、子づくりという観点に立てば、男性にも「旬(しゅん)」というのがあるようで…。


医学のうんちく/精子の老化
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。